カーシェアリングサービス「タイムズカー」がサイバー攻撃を受けた問題で、大量の運転免許証画像などが流出したことから、各地で免許証の再交付を申請する動きが相次いでいる。「成り済まし」被害への不安から券面情報の更新を求めているとみられるが、被害防止効果は限定的という。警察庁は金融機関などに本人確認の徹底を求め、個人には「詐欺や個人情報の悪用が疑われる場合はすぐ警察に相談してほしい」と呼び掛けている。
流出した顔写真付き免許証などの画像データは約160万人分に上るとされる。警察庁によると、被害公表後、各地の警察や運転免許センターに「免許証の情報を書き換えたい」などの問い合わせが多く寄せられている。
再交付は原則、紛失・破損時や転居などで記載事項に変更がある場合に限られる。ただ、道交法施行規則は各公安委員会が「相当な事情」と認めれば可能としており、流出問題を受け、ほぼ全ての窓口で再交付を認める運用をしているという。
しかし、再交付で変更できるのは顔写真と、12桁の番号のうち再交付回数を示す末尾の番号のみ。住所や生年月日などは犯罪者側に渡っている上、事業者側も更新後の免許証か否かを確かめるすべがなく、再交付による犯罪抑止効果は限られる。
警察庁は、成り済ましによる金融口座の不正開設やクレジットカード契約などの懸念に対し、関係業者に手続き時の確認徹底を要請した。来年4月からは改正犯罪収益移転防止法により、金融機関などにマイナンバーカードや免許証のICチップ読み込みによる本人確認が義務付けられ、画像のみで成り済ましはできなくなる。一部企業では先行実施しており、同庁は制度の周知や積極導入を働き掛ける方針だ。
タイムズカー以外にも、不正アクセスによる個人情報の流出が次々と明るみに出ており、特殊詐欺の電話や流出元企業をかたった偽メールの増加も想定される。
警察庁の楠芳伸長官は8日の記者会見で「検挙と抑止の両面から、安全安心なサイバー空間の確保に取り組む」と強調した上で、基本的なセキュリティー対策の徹底を要請。詐欺電話遮断機能を持つ防犯アプリの活用やパスワードの更新、不審なメールを開かないなどの対策を呼び掛けた。