野尻智紀(TEAM MUGEN AUTOBACS) 2026スーパーフォーミュラ第9戦・第10戦富士 10月10日(土)、静岡県・富士スピードウェイで行われた2026スーパーフォーミュラ第9戦富士決勝は、イゴール・オオムラ・フラガ(PONOS NAKAJIMA RACING)が太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)の追い上げを振り切り、初のポール・トゥ・ウインで幕を閉じた。
ここでは、決勝後に行われた取材セッション『ミックスゾーン』より、ドライバーたちの声をお届けする。
■牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING) 予選10番手/決勝11位
予選10番手からスタートし、11位フィニッシュとなった牧野。決勝レースは序盤からペースが上がらず、非常に苦しい展開となった。「歴代のスーパーフォーミュラのレースペースで多分いちばん悪くて、ちょっとまだわからないですね。レース後の車両保管も解除になっていないし、まだ何も見れていないです。とにかくまったくグリップしなくて、それがなぜなのかわからないですけれど、最初から全然前半はまったくペースがなくて」
状況を打破するため、牧野は早めのピットインを決断する。前回の富士大会では、タイヤ交換後にペースアップを果たした経験をしていたからだ。
「ワンチャン『タイヤを変えたら良い方向へ行くかな』みたいなことを思って、早めに入ったんです。前回の富士も前半スティントはかなり苦戦したのですが、変えてからすごく調子が良かったので。そういうのもあるのかなと思って早めには入りましたけれど、今回はまったく関係なかったですね」
苦難は決勝だけにとどまらず、予選Q1からQ2にかけてもマシンには不可解な症状が出ていたという。
「とくに何も(変更を)していなかったですが、Q2が全然グリップしなくて。アタックに入った1コーナーで『あ、これやばいだろうな』と思っていたので、そのままの結果でした」
「決勝のほうがひどかったですけれど、ちょっと何が起きているのかわからないくらい遅かったので。ここまでレースペースがないレースも初めてくらいだったので、正直まだわからないです」
戸惑いと悔しさが入り交じる様子がうかがえた牧野。明日の第10戦に向けて、まずは原因の究明が急務となりそうだ。
■野村勇斗(San-Ei Gen with B-Max) 予選3番手/決勝リタイア
予選3番手という好グリッドからスタートを切った野村は、最終的にリタイアという形で第9戦を終えた。レース前半は3位のザック・オサリバン(TEAM IMPUL)や4位の岩佐歩夢(TEAM MUGEN AUTOBACS)と上位争いを展開していたが、ピットインの2周ほど前から突然ペースがダウン。チームが野村をピットに呼び戻すと、原因はマシンのフロアが割れるという思いがけないトラブルだった。
「(フロアが)割れる前までは結構いいペースで走れていて、岩佐選手が前にいて、途中でザック選手とも争っていたんですけれど。そのあたりでいけたのかなと思うとちょっと悔しいですね」「明らかに割れていたので。何かに乗り上げて壊れたというよりは突然だったので、今までそんなことなかったですし、ちょっと検証しないといけないです」
空力パーツであるフロアの破損は、スーパーフォーミュラのマシンにとって致命的なダメージとなる。野村はその際の挙動の変化について、次のように振り返った。
「もう普通に全域でグリップしなくて、ブレーキも止まらないですし、とくに100Rなんかも全然リヤがない状況で。スーパーフォーミュラは下面のエアロも結構出ているので、それが壊れてしまって結構どうしようもなかったなというところですね」
「(車高など)いつもと同じような感じに予選、決勝とアジャストしていたんですけど、見たことない割れ方だったので、何があったんだろう、という感じです」
トラブルさえなければ、上位フィニッシュも狙えるペースがあっただけに悔しさの残るレースとなった。それでも、予選での速さなどポジティブな要素もあり、野村は第10戦での挽回を見据えている。
「もしトラブルなくいけていれば、4位や5位とか、もしかしたらザック選手と争えたのかなぐらいには思っています」
「やっぱり決勝でリザルトを残さないとポイントも獲れないので少し歯がゆいレースが続いていますが、明日もレースがありますし、クルマの基本は良さそうなので。ちょっと切り替えて頑張ろうかなと思います」
■佐藤蓮(PONOS NAKAJIMA RACING) 予選14番手/決勝10位
予選14番手からスタートし、10位入賞を果たした佐藤。しかし、予選Q1では僅差でQ2進出を逃しており、その差はわずか0.045秒であった。
「予選ではタイヤの温め方を変えていたんです。路面温度が前日の最後より高かったので、比較的に温めない方向で走ったのですが、1周のみのアタックのなかでウォームアップがまだできていない状況で、アンダーステアも出てしまったりというのがあって。タイヤのピークを出せなかったというのが、いちばん大きな要因かなとは思います」
決勝レースではトラフィックに悩まされる展開に。前を走る大湯都史樹(SANKI VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)に抑えられつつも、単独走行になればペースを上げられる自信はあったという。
「ただ、(引っ張ったタイヤでの)ペースが1分26秒を切るか切れないかぐらいのところだったので、あまり引っ張っていてもおいしくはないんじゃないかということで(ピットに)入ったんです」
しかし、結果的にはピットアウト後も大湯選手の後ろを走ることとなり、オーバーテイクには至らなかった。セクター1、2では速さを見せたものの、いくつか噛み合わない部分があったと語る。
「セクター3が遅くてストレートも伸びなかったですし、ギヤもシフトアップで弾かれたりするトラブルがあったので、そこがうまく噛み合わなかった」
「ただ、クリーンエアで走れていないという部分のほうが大きい要因だと思うので、やっぱりその(前の)位置にいるということが重要だと思います」
マシンのポテンシャルを感じつつも、ポジション取りの重要性を改めて痛感した佐藤。明日の第10線での予選上位獲得と、クリアな展開での走りに期待したい。
■野尻智紀(TEAM MUGEN AUTOBACS) 予選5番手/決勝15位
3列目/予選5番手からスタートした野尻智紀(TEAM MUGEN AUTOBACS)。スタート直後には野村をかわして4番手に上がったものの、周回ごとに後続に追われる展開が続き、10周目には9番手までダウン。ミニマムタイミングでピット作業を行ったが思うようなペース改善は難しく、全車が作業を終えたころには11番手となり、最終的には16番手フィニッシュ(他車に与えられたペナルティにより正式結果では15位)となった。
「セット的にというか、我々のマシンが元々持ってる性格として、荷重が全くかからなくなっちゃう。荷重がもう0で、(マシンが)浮いてるような感じ……」
「タイヤのグリップを引き出すサイクルにまったく入れられずに走っているという感覚で、もちろん解決策は探っているのですが、その足掛かりとなるものが今のところ何も見つからないです」
そのなかでも「予選1発のにおいてはある程度はカバーできている」といい、予選結果の順位を見ても明らかな状況のため、課題意識は決勝ペースにある程度限定的な様子だが、その違いを野尻は次のように分析する。
「予選なら元々のタイヤの地のグリップが出て、さらにハイスピードでダウンフォースもかかるので、よりグリップも出てくるというサイクルに入る感覚はあるんですよね」
「ただ、いかんせん燃料を積んでなのか、タイヤがニューじゃなくなったらなのか、そこの切り分けはまだ怪しいところはあるのですが、いずれにしても決勝スタートになると、とてもじゃないけど走ってられるようなパフォーマンスが出ません。その中でどんどんペースを落としてしまった状況でした」
もし新車に替えたとしたら、課題は解決すると思うかと問われると、野尻はその問いを否定した。
「以前にも、新車を入れても何も変わらなかったところがありましたからね」
「何か(隠れた原因が)があるんだろうとは思うのですが、今必死にチーム側も僕の16号車の方を助けてくれていて、工場でもいろんな試験をどんどんやっていこうと動いています」
「実際にいろいろな試験をやって、『ちょっとこういうところが違うのかもな』という部分が少しずつ見えてはきています。ただ、それをどう改善していくかという足掛かりがまだ掴めてない状況です」
「少なくともチームもしっかりと僕の方を助けようとして、動いてくれているので、なおのことしっかり走りたい思いは強いです」
最後には「幸か不幸か、成績の良い(岩佐)歩夢のクルマが横にあるので、そこから何かを学びを得て、自分たちの引き出しにできれば、周りよりもまた一歩抜けられるチャンスにもできるのかなと思います」と、僚友にもすがる思いで再起をかける構えを言葉にした。
[オートスポーツweb 2026年10月11日]