王者のGRスープラ起因で劇的決着。DJRマスタングが最終ラップの大逆転/RSC第11戦バサースト1000

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2026年10月15日 15:01  AUTOSPORT web

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ブロディ・コステッキ/トッド・ヘイゼルウッド組(シェルVパワー・レーシング/フォード・マスタング)が劇的な大逆転勝利を飾っている
 毎年恒例10月上旬にマウントパノラマへ集結し、栄光の“ザ・マウンテン”攻略を目指すシリーズ最大の祭典、2026年のRSCレプコ・スーパーカー・チャンピオンシップ第11戦『Bathurst 1000(バサースト1000)』が10月8〜11日の週末に争われ、高速ながらも展開が読めるスプリント戦の様相を示したレースは、最終盤に立て続けのドラマが待ち受けることに。

 残り6周で起きた“ふたつの波乱”が信じられないような結末を演出し、古豪ディック・ジョンソン・レーシング(DJR)の2023年王者ブロディ・コステッキと、耐久カップ登録ペアのトッド・ヘイゼルウッド組(シェルVパワー・レーシング/フォード・マスタング)が、今後長きに渡って語り継がれるであろう最終ラップでの劇的な大逆転勝利を飾っている。

 カレンダー終盤恒例のエンデューロ(長距離耐久)カップへ突入しているRSCは、その初戦となった前戦ザ・ベンドにてディフェンディングチャンピオンのチャズ・モスタート/ファビアン・クルサード組のウォーキンショーTWGレーシング(WTWGR)陣営が勝利。今季投入のトヨタGRスープラ・スーパーカーは、初年度を通じてエンジンの信頼性に悩まされて来たものの、初の耐久レースでその下馬評をも覆す見事なデビューウインをもぎ取った。

 迎えたバサーストの走り出しからそのGRスープラは好調さを維持したものの、土曜3回目のFPで陣営内の空気は暗転。ザ・ベンドでも3位表彰台に上がっていたライアン・ウッド/ジャクソン・エバンス組(WTWGR/トヨタGRスープラ)の2号車が“フォレスト・エルボー(Forrest's Elbow)”で激しくクラッシュし、ウッドは無傷だったものの42Gの衝撃を受けたマシンは大破。予選への参加は不可能な状況となった。

 そんな流れのなか予選シュートアウトのタイムスケジュールを迎えると、史上初となる4年連続ポールポジションを狙っていたコステッキの前に意外な“伏兵”が立ち塞がる。前日金曜の予選セッションでトップタイムを記録していた22歳のルーキー、ザック・ベイツ(マット・ストーン・レーシング/シボレー・カマロ)が3つのセクターすべてで最速タイムを叩き出し、衝撃のポールポジションを奪い獲った。

「本当に目まぐるしい1週間だ。信じられないよ!」と自身スーパーカー参戦以来初、そして所属するマット・ストーン・レーシング(MSR)にとってもバサースト1000で初のポールポジション獲得となったベイツ。

「アーロン(・シートン/耐久ペア)とふたりで、マシンを速くするために懸命に取り組んで来た。ポールポジションを獲得できたこと、それもここ(バサースト)でポールを獲れたというのは、本当に最高の気分だよ」

 明けた日曜の決勝161周を通じて多くのチームが直面した最大の課題は、タイヤとブレーキに関するものに。最初の1時間のスティントが終わる頃にはリヤタイヤにブリスター(水ぶくれ状の損傷)が生じ始めた車両もあり、気温の上昇とともに路面温度が45度を超えてくると、タイヤが剥離(デラミネーション)してしまうケースさえあった。

 またブレーキの問題については、チーム関係者によれば供給されているコントロール・パッドの品質にばらつきがあることが原因と見られ、供給されたパッドのロット間でわずかな品質差が生じていたという。グローブ・レーシングの共同オーナーであるブレントン・グローブは、中継のTVインタビューにて次のように状況を説明している。

「支給されるブレーキのロットは60周も持たないんだ。問題は70周ほど走った時点でブレーキを交換しなければならなかったのに、まだ85周も残っているということだ……最後まで走りきれるかどうか、様子を見るしかないね。このレベルのレースでブレーキが最後まで持たないなんて、笑い話にもならないよ」

 しかしそんな決勝を前に「ポールポジションを逃したことは痛手でもなんでもない」と語っていたコステッキが、スタート直後から有言実行。実力と地力、そして経験値の差を見せつけるかのようにレース中盤までを支配し、圧倒的な優位を築く。ところが全6回を予定していたピットストップ作業のうち、5回目に実施した2度目のフロントブレーキ交換作業時にトラブルが発生。約30秒のタイムロスを喫し、この時点で首位の座を明け渡してしまう。

 コステッキが最後の義務ピットを終えた時点で首位はアントン・デ・パスカーレ(Team 18/シボレー・カマロ)に代わり、それをポールシッターのベイツが追う展開に。しかしそのTeam 18も最後のピットストップで採った「給油量を抑えてコース上の順位を優先する」という戦略が裏目に出て、パスカーレは極限の燃費走行を強いられる。

 その直後、レース唯一のセーフティカー(SC)が導入される事態が発生。残り6周という段階で王者モスタートがドライブするGRスープラの1号車が、FPで僚友が大ダメージを負ったのとまさに同じ場所で壁に激突し、勝負は残り3周のスプリントで決することとなる。

 ここからコステッキは前方の誰よりもフレッシュなタイヤセットを最大限に活かして猛追を開始。まずはベイツをかわして2番手に浮上すると、最終ラップにはさらなるドラマが発生し、最後の“マウンテン・ストレート(Mountain Straight)”を駆け登る途中でTeam 18のシボレー・カマロZL1が突如として失速。その脇をDJRマスタングが鮮やかに駆け抜けていった。

「とても良い1日だったんだ……それなのに、チェッカーフラッグまであと6kmというところでの出来事。言葉にするのは難しいが、とにかく非常に残念で本当に悔しい」と明らかに落胆し、肩を落とすパスカーレ。「レース終盤、まさに勝負を掛けたいタイミングで、クルマは最高の仕上がりだった。すべてが順調に進んでいたのに、最後の最後で……状況を把握したときには、もう手遅れだったよ」

 レース後の調査の結果、チームの燃料戦略ソフトウェアに問題があったことが判明したが「もしSCがあと数周長く出ていてくれたら助かったか」との問いに対し、チーム代表のチャーリー・シュワルコートは「このミスに対する全責任はチームにある」と強調した。

「これはチームとしての責任だ。特定の個人を責めるべきものではなく、誰かがその職を解かれるようなこともない。我々はチームとして勝ち、チームとして負ける。そこから学び、成長していきたい」

 そしてチェッカー直後には最終周に起きた出来事が信じられない様子だったコステッキは「レース中は非常に順調だった。以前も言ったとおり『マウンテン』が勝者を選ぶんだ」と自身2度目の祭典制覇を成し遂げた。

「チームが必要な情報をすべて伝えてくれた。(ヘイゼルウッドと)また一緒に勝てたのは最高だ。(チェッカー直後に)ダッシュボードを見たら『161』と表示されていて『これ、合ってるのか?』と思ったよ。彼(パスカーレ)を追い抜いた瞬間、あまりの興奮と高揚感に危うく“ザ・カッティング(The Cutting)”の壁に突っ込みそうにもなったしね(笑)」

 ただし、そのコステッキも順風満帆だったわけでなく、ファイナルラップのターン1まで2番手のまま、背後に喰い下がる強豪トリプルエイト・レースエンジニアリング(T8) のウィル・ブラウン/スコット・パイ組(レッドブル・アンポル・レーシング/フォード・マスタング)を抑え続ける必要があった。

「レースでは20秒ものリードを築いていた。それなのにピットストップですべてを失った。その瞬間、自分の中でスイッチが入った」と続けたコステッキ。

「『マシンを大破させるか、それとも前のクルマに追いつくか。そのどちらかだ』と。最終ラップは泣くのをこらえるのに必死だった。そのまま無事にチェッカーを受けたけれど、本当に、信じられないような結末だった。脚本でも書けないような展開だよ」

「事前に無線で18号車(パスカーレ)の燃料が足りない可能性を聞かされていたが『いやいや、そんな旨い話があるわけないだろ』と思っていたら、マウンテン・ストレートで本当にガス欠になったんだ。チームから極限の燃費走行を指示されて、スロー走行しながらブロックするつもりなんじゃないかと思ったんだ。そんなことになったら、どれだけめちゃくちゃな展開になるか想像できるかい? 頭の中ではそんなことを考えていたよ。『なんてことだ、このまま坂を上がり切るまでずっとブロックし続ける気か? 大混乱になるぞ……』と焦ったよ『最悪だ』ってね。でも、本当に燃料が尽きていたんだ」

 これでエンデューロ・カップが締め括られ、チャンピオンシップは資格を得たタイトル候補者による全3戦の『The Finals(ファイナルズ)』へと突入。その初戦となる第12戦『Gold Coast 500(ゴールドコースト500)』は10月23〜25日に争われる。

[オートスポーツweb 2026年10月15日]

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