「盗品を返さなかったら顔写真を公開する」 まんだらけの「警告」は問題ないのか?

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2014年08月07日 14:41  弁護士ドットコム

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マンガやグッズの中古ショップ「まんだらけ」が8月5日に公式サイトで行った「万引き犯への警告」が、話題を呼んでいる。同社のサイトに、巨大な赤いフォントで、次のような警告メッセージが掲載されているのだ。


【関連記事:「24時間以内に死んでくれ」と迫ったら相手が自殺――「殺人罪」になる可能性は?】



「8月4日17時頃まんだらけ中野店4F変やで25万円の野村トーイ製鉄人28号 No.3 ゼンマイ歩行を盗んだ犯人へ」「1週間(8月12日)以内に返しに来ない場合は顔写真のモザイクを外して公開します」



この警告文の下には、左肩にカバンをかけた人物の写真が大きく掲載されており、顔の部分にモザイクがかけられている。



かなりインパクトのある「警告」だが、ネット上には「間違いだったらどうするの?」「あれ脅しの域超えてる」など、店の行為を疑問視する声もある。このような「警告」の方法を、法律の専門家はどう見るだろうか。足立敬太弁護士に聞いた。



●「脅迫罪の可能性」


「『(盗品を返さなければ)窃盗犯としてモザイクを外して顔写真を晒す』と警告する行為は、人の名誉に対して害を加える告知をしているといえるので、店側が脅迫罪(222条1項)として処罰される可能性があります。ただちに止めるべきです」



仮に、相手が犯人である、明らかな証拠があっても、ダメなのだろうか?



「もちろん窃盗犯は、刑事・民事上の法的責任を負わなければなりません。しかし、だからといって、犯罪に対して犯罪で応じてしまっては、法秩序は成り立ちません。したがって、このような手法を容認することは許されません」



●警察に「被害届」と「証拠」を提出するべき


すると、店はどうすべきなのだろうか?



「店として行うべきことは、警察に被害届を出した上で、証拠であるこの画像データも提出することです。画像データが鮮明で犯行の瞬間を捉えていることを警察が確認できれば、犯人の情報提供を求めて公開捜査に踏み切ることも期待できます」



●「すぐにでも取りやめるべき」


「まんだらけは、漫画や各種グッズなどを買い取って販売する店で、これは『古物商』とよばれる営業形態です。古物商として営業するためには、古物営業法にもとづく公安委員会の許可が必要です。禁錮以上の刑に処せられた人は、許可を取り消される場合があります(同法6条)。



まんだらけは上場企業ですし、このような犯罪まがいの警告を行って、警察ににらまれるような事態を招くことは、重大な経営リスクだと思います。すぐにでも、表示を取り止めるべきでしょう」



足立弁護士はこのように話していた。


(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
足立 敬太(あだち・けいた)弁護士
北海道・富良野在住。投資被害・消費者事件や農家・農作物関係の事件を中心に刑事弁護分野も取り扱う。分かりやすく丁寧な説明だと高評価多数。
事務所名:富良野・凛と法律事務所
事務所URL:http://www.furano-rinto.com/



このニュースに関するつぶやき

  • 個人的には犯罪者の人権なんて剥奪してしまえって思うけどね。被害者の行動を法で抑制して加害者の人権を保護してちゃ、犯罪の抑止に繋がらんのでは?と感じる訳です。
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