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子どもが家と外で態度が違うというのはよく聞く話ですね。「内弁慶」とか、「外ヅラがいい」とか言います。
筆者は、先日子どもの「先生の前だけうそついていい子を演じるようになる」というような表現を目にしました。“先生の前でだけうそついていい子”とはどういうことなのでしょうか。
今回は、このことについて『グローバル社会に生きる子どものための−6歳までに身に付けさせたい−しつけと習慣』の著者・平川裕貴が考えてみたいと思います。
■そもそも“うそついていい子”とは?
いい子を演じているのはうそなのでしょうか? その子が本当は嘘つきでいい子ではないということでしょうか?
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私たちは社会に出れば、暑くて裸でいたくでも服を着ています。嫌いな人にも挨拶をしています。
やりたくない家事や仕事もちゃんとこなし、行きたくない取引先や営業にも行っていますよね。
外では、にこやかに挨拶をし、人に気を遣い、与えられた仕事をして責任を果たす努力をしています。社長や上司やお客さんの前で、反抗的で失礼にあたるような態度は取りません。同僚や部下と意見を闘わすことはあっても、暴力には訴えません。
これらは私たちがうそをついて「いい人間」を演じているということでしょうか? 仮に本心と違うとしても、それは間違ったこと、悪いことなのでしょうか?
仕事を終えて家に帰ったら、「疲れた〜」とゴロっとし、お酒を飲んでたまには家族に八つ当たりもしてしまう。家では、リラックスして、鎧を脱いでありのままの自分を出す。
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それはしてはいけないことでしょうか?
■子どもは外で“していいこと”と“してはいけないこと”を学んでいる
発言の真意はわかりませんが、子どもが先生の前のいい子でいようと努力していることを、うそつき呼ばわりすることには、強い憤りを感じます。
たとえば、私のスクールで預かっているのは、3歳から6歳の幼児ですが、幼児の場合、人生で初めて、社会でどう振る舞えばいいかを学ぶ時期です。幼児はまだまだ本能のまま振る舞います。大人がやってほしくないことをするのが子どもです。
何をどうしていいかまださっぱりわからない子に、ほめたり叱ったりしながら、集団の中で“していいこと”と“してはいけないこと”を教えていくのです。
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先生の前でいい子、幼稚園でいい子だとすれば、その時は、“していいこと”と“してはいけないこと”のけじめがついているということ。
社会での振る舞い方をちゃんと学べている、社会性が育ってきているのだと喜ぶべきことでしょう。ただし、指導の仕方によっては、先生が怖いから言うことを聞いているだけという場合も確かにあります。
■家では子どもの頑張りを認めてあげましょう
大人でも入社して1、2年は初めてのことばかりで、緊張の連続ではありませんか?
子どもも同じです。
幼稚園で「これはやっていいことか?」「これはやってはいけないことか?」を自分でも必死に考えながら過ごすのは、とても緊張感のいることです。精神的に子どもは、クタクタになっているはず。
ですから、家に帰ると緊張感がほぐれ、思い切り親に甘えたくなります。
親に「よくがんばってきたね」とか「みんなとなかよくやれたのね」とか「先生の言うことをちゃんときけたのね」と思い切り抱っこしてもらえたら、子どもは頑張っていることを親に認めてもらえたと安心するでしょう。
でも、逆に子どもの行動をきちんと認めてあげなければ、親が構ってくれないと感じ、やんちゃや悪さをして親の気を引くという強硬手段にでるでしょう。まだまだ親に甘えたい時期の子どもにとって、それはとても自然なことです。
大人になれば、家でリラックスする時間にも、羽目を外すようなことはしなくなるでしょうが、幼児期の子どもはまだまだそうはいきません。リラックスの仕方も学んでいくのです。
そこで、この機会にぜひ考えてみてください。
自分の子には“外でいい子で、家でやんちゃな方がいい”か“親の前ではいい子で、外でやんちゃな方がいい”のどちらを望むか。
「親の前でいい子、外でやんちゃ」というのは、親の前では素直ないい子、親の目の届かないところで悪さをするということ。家ではありのままの自分を出せないので、外で発散、ガス抜きをしているということです。罪を犯した子どもの親で、「うちの子に限って……」などと言うのはこのタイプでしょう。
もちろん、外でも家でもいい子でいてほしいというのが本音でしょうが、そんなことは幼児の場合、ほぼありえません。
どちらかを選択しなければならないとしたら、あなたはどちらを選択するでしょうか?
※ 平川裕貴・・・日本航空国際線CA、外資系英語スクールを経て、1988年に子ども向け英会話教室を設立。
30年以上に亘り子ども英語教育に携わり、現在3歳から6歳までの子どもにバイリンガル教育を実施中。近著は『グローバル社会に生きる子どものための−6歳までに身に付けさせたい−しつけと習慣』。
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