アイドルが「恋愛禁止ルール」を破った! 相手が「ファン」だったときの責任は?

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2014年09月22日 11:21  弁護士ドットコム

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アイドルグループの芸能事務所が、所属アイドルと交際したファンに対して損害賠償を請求したと報じられ、話題になっている。


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渦中のアイドルグループは「青山☆聖ハチャメチャハイスクール(通称「メチャハイ)」。スポーツ新聞などによると所属事務所「Moving Factory」が、メンバーと交際していたとされる男性ファン2人と、元メンバーに対して、約800万円の金銭を請求しているのだという。



メチャハイの公式サイトでは、メンバー2人を「重大な契約違反」で脱退処分にしたと発表したうえで、「現在契約者本人、親権者、共謀者に対し弊社顧問弁護士より訴訟の申し立てを行っております」と報告している。



ここでいう「重大な契約違反」や「共謀者」が、それぞれ何を意味するのかは明らかになっていないが、仮に報じられているようにアイドルが所属事務所と「ファンと交際してはならない」という契約を結んでいたのだとしたら、「アイドルと交際したファン」は何らかの責任を負う可能性があるのだろうか。谷原誠弁護士に聞いた。



●男女の交際は「精神的自由」にかかわる


「まず、アイドルと所属事務所の専属契約などで、恋愛禁止規定を設けることがあるようですね。



ただ、男女の交際は、本人の『精神的自由』と『行動の自由』、そして『婚姻の自由』に関わってきます。これは『基本的人権にかかわる自由』という、本人の自由意思が最大限尊重されるべき事項です。



アイドルの恋愛禁止規定を含む契約は、そうした事項に制限を加えるものですから、無条件に有効というわけではありません」



では、アイドルの恋愛禁止契約は、有効だろうか、無効だろうか。



「アイドルの場合には恋愛が公になることで、人気に影響が出ることもありますよね。ですから、恋愛禁止規定について全く無効と言い切ることはできません。あくまでも、その条項の有効性は、限定的に解釈されなければならないということになります」



限定的に恋愛を解釈するなんて、いったいどういうことだろう。



「たとえば、『仕事に関連するトレーナーやマネージャーとは恋愛してはならない』というように、相手を限定する形なら、有効とされることがあり得るかもしれません。



ただ、『ファンと恋愛してはならない』という条項は無効と考えてよいでしょう。また、少なくとも、その契約が、契約当事者ではないファンにまで及ぶことはありません。



したがって、原則として、ファンに対する損害賠償請求は、たとえ提訴したところで認められないでしょう」



なるほど。しかし、「原則として」と来たら、例外もあるはずだ。どんな場合が例外にあたるだろうか。



「たとえばそのファンが、恋愛禁止規定を知りながらアイドルと交際し、その上で、自分から週刊誌にリークしてアイドルの人気を落とそうとしたり、そのアイドルグループから強引に脱退させたりしたときでしょうか。



こうした場合は不法行為が成立し、損害賠償請求が認められる可能性があります。ただ、ひっそりと交際するだけでは、ファンに損害賠償責任が発生することはまずない、と考えます」



谷原弁護士はこのように述べていた。



(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
谷原 誠(たにはら・まこと)弁護士
みらい総合法律事務所代表パートナー
1994年、東京弁護士会登録。著書に「人を動かす質問力」(角川書店)他多数あり。テレビ朝日「報道ステーション」他テレビ出演も多数。
ブログ:http://taniharamakoto.com/
弁護士による交通事故SOS:http://samuraiz.net/
事務所名:みらい総合法律事務所
事務所URL:http://www.mirailaw.jp/



このニュースに関するつぶやき

  • そもそもさ、恋愛とか個人の自由なんだし、恋愛しているからって離れてくのはそもそもファンじゃないし、悪い方向にしか行かない世の中の方が可笑しいと思うんだが
    • イイネ!13
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