BLを卒業する必要はない!? 『31歳BLマンガ家が婚活するとこうなる』の作者・御手洗直子に聞く"腐女子の結婚"

　女性は、年をとればとるほど、世間体が気になりますよね。とくに結婚！　30歳近くなると、周囲に既婚者が増えてきて「一生独身かも......」と焦り始めます。腐女子のみなさんは、「BLを好きなままで結婚できたらいいな〜」と思ったりしませんか？

　そんな甘い話はなさそうな気がしますが、実は世の中にはちゃんとBLを理解してくれる男性はいるんです！　自身の婚活エピソードを綴ったマンガ『31歳BLマンガ家が婚活するとこうなる』（新書館）で人気の御手洗直子先生の旦那さんが、まさにその一人。そこで、結婚が気になる腐女子のために、御手洗先生から"腐女子と結婚"についてお話を聞いてきました！

――今回は、独身の腐女子が希望を持てるようなエピソードを色々と聞かせていただけると嬉しいです。腐女子が真っ先に気になるのは、「既婚男性はどれくらい妻のBL好きを理解してくれるのか？」というところだと思います。御手洗先生は結婚後、BLについて旦那さんから何か言われたり、トラブルが起きたりしたことはありませんか？

御手洗直子（以下、御手洗）　そもそもお互いの趣味を許容できる人を探していたので、私の夫はBLについて理解があります。というか、たぶんそのことにあまり興味が無いです。なので、「やめてほしい」と言われたり、注意されたり、ということはないです。BL関係のトラブルもありません。部屋にある同人誌を夫に見られても、とくに困ることはないです。ただ、1歳4ヵ月の娘に関しては、同人誌のある部屋には入れないようにしています。

――うらやましい〜！　御手洗先生の旦那さんみたいな男性と結婚したいです。大ヒットした実録婚活エッセイマンガ『31歳BLマンガ家が婚活するとこうなる』では、旦那さんが"ホモ"と光るiPhoneのアプリを見せてくれたというエピソードがありましたが、それ以外にも何かあれば教えてください。

御手洗　私の夫は自分で料理をする人でオムライスが得意なんですが、ケチャップで"ホモ"って書いてくれたことがあります。

――いいですね！　ある意味、愛を感じるエピソードです。"素敵な結婚生活"って感じがして、想像するとちょっとキュンとします（笑）。

御手洗　あと、夫はゲームやアニメのオタクなので、例えばアニメ『TIGER＆BUNNY』の放映期間中は話ができて楽しかったです。ただ、やっぱり私と夫では見ているポイントが違うので（笑）。そう考えると、一緒に盛り上がる、という感じとはちょっと違うかもしれないです。私はストーリーというより、各キャラクター同士の関係が気になってしまうので。夫に『TIGER＆BUNNY』の同人誌を見せた時には、「夢が壊れるのでやめて〜」と言われたことがあります（笑）。

――理解ある旦那さんがいてBL活動できるなんて、本当にうらやましいです。ただ、世の中の腐女子の大半は「BL好きをやめなきゃ結婚できないかな」「結婚したらBLは卒業しないといけないかな」などと悩んでいたりします。それについて、御手洗先生はどう思いますか？

御手洗　個人的には「BLを卒業する必要はまったくない」と思います。そういった趣味に寛容、または興味のない男性と結婚すれば良いのかなと思います。というか私が婚活で出会った人たちの大半はたぶん女性の趣味にあまり興味がないんじゃないかなあと思いました。

　私は結婚して子供を産んで、自分の時間がなくなったので強制的にBL断食になったんですが、やめたくてやめたわけではなく、あくまで一時的なものでした。ほかに趣味もほぼないので、同人やマンガをやめたら普段することの大部分がなくなってしまうんで（笑）。

　私の聞いた話では確かにBL活動を旦那さんに注意された方もいるようですが、それは活動の仕方に問題があるのかなあと思います。物の置き方が汚いとかお金や時間の使い方にが家族ではなく自分優先すぎるとか。これはBLとかマンガが趣味だから、というよりほかの趣味でも共通して言えることだと思います。結婚してもずっとBL活動されているという人は、家族がいるってことが前提で活動されているので、問題なく続けられているのかなあと思います。

――なるほど。確かにそうですね......。腐女子が御手洗先生みたいに幸せな結婚生活を送るには、一体どうしたらうまくいくのでしょうか？

御手洗　お互い、余計なストレスをためないようにすることですかね......。できるだけしたいようにする、とか......。例えば子育てに関して言うと、私は「マンガを描きたい」「仕事をしたい」と思っていたので、「子どもは産まれたら保育園に預ける」前提で行動していました。それで今は、1歳4ヵ月の娘を保育園に預けています。実家も近く、本当に困ったときには頼れる状況なので子育て関係のストレスは正直あまりないです。これは私の家庭環境なので、アドバイスになるかわかりませんが......。自分が何をしたいかを考えて、事前に準備しておくと良いのかなあ、と思います。あとは主人が子ども好きで、土日は子どもと遊んでくれるので助かっています。

――巷では「旦那さんが子育てしてくれない」って話をよく聞くので、子どもの世話をしてくれる旦那さんだとかなり嬉しいですよね。元々、子ども好きな人かどうか確認した上で結婚を決めた感じですか？

御手洗　いえ、たまたまです。子どもの話はもちろん、軽くしましたが......。結婚する前に「子どもがほしいな〜」と言ったら、「そうだね。俺もほしい」と返事をしてくれたことはありました。でも、こんなに子ども好きとは思ってませんでした。ここら辺については、『31歳ゲームプログラマーが婚活するとこうなる』【編注：旦那視点で描かれた『31歳BLマンガ家が婚活するとこうなる』の続編】を読んでいただけるといろいろ出てくるかもしれません。

――ちょうど今、「ウィングス」（新書館）で連載している御手洗先生のマンガですね。単行本になったら、『31歳BLマンガ家が婚活するとこうなる』みたいにまた話題になりそうです。それでは、最後に結婚を考えている腐女子にメッセージを一言いただけないでしょうか？

御手洗　やっぱり、結婚したいと思ったら婚活をしてみるのもひとつの手なのかな〜と思います。何もしないで結婚できるってかなり恵まれた人でない限り難しい気がするので......。

　それと完璧な男性はいないというか、どんな人にも欠点があって、「これさえなければな〜」って部分がゼロな人は多分いないので、その部分を妥協できるかどうか。そして妥協してまで結婚したいかどうかを考えることが大事なのかな〜と思います。婚活前に、自分自身の結婚意欲を考えておくといいかもしれないです。

――なるほど。ありがとうございました！

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　御手洗先生のお話から、腐女子だからと言って「結婚かBL、どちらか選ばないといけない」なんてことはないことがよくわかりました。ちなみに、今年5月にインターネット上でgooが運営するコラムサイト『教えて！ウォッチャー』の「腐女子に理解のある男性と結婚する方法」という記事が話題になってました。この記事には、「同じ趣味の人を探した方がいい」とあります。婚活中はできるだけ、オタク系の趣味を持つ、もしくは理解がありそうな男性を狙うといいかもしれませんね。
（取材・文／水野渚紗）

■『31歳BLマンガ家が婚活するとこうなる』
http://www.amazon.co.jp/dp/4403671276
■『31歳ゲームプログラマーが婚活するとこうなる』
http://www.shinshokan.com/wings/
■『1年こんかつものがたり みんなのこんかつ』（恋する心に寄り添うサイト「cocoloni PROLO」より）
http://cocoloni.jp/culture/24108/