パンケーキ食べ放題で大混雑 「2皿しか食べられなかった」客は返金してもらえる?

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2014年10月24日 17:41  弁護士ドットコム

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ファミリーレストラン大手「デニーズ」が「パンケーキ食べ放題」を期間・店舗限定で実施したところ、人気がありすぎて客が殺到したため、一部の店舗でサービスが間に合わない状態になってしまった。


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税込み999円(中学未満は540円)と価格が手頃なうえ、アイスやフルーツなどトッピングも可能ということで、開始後初の週末となった10月17〜18日には、大勢の客が詰めかけた。ツイッターでは、「デニーズのパンケーキ食べ放題行ってきたけど客多すぎて2皿しか食えなかったわ」「パンケーキ食べ放題来たはいいけど注文して40分経っても来ない...食べ放題じゃないよこれ笑」といった報告が相次いだ。



デニーズを運営する「セブン&アイFood Systems」は、「店頭にて長時間お待ちいただく状況やご注文を承ることができない状況」になったとして、公式サイトで謝罪した。同社に問い合わせたところ、一部の店舗でサービスが行き届かなかったり、フルーツなどの材料が切れてしまったケースがあったという。広報担当者は「完全に想定外でした」と認めたうえで、「お客様にご迷惑をかけてしまいました」と反省の言葉を口にした。



同店のパンケーキは手作りのため、注文から提供まで最速でも10分程度はかかるということだが、「食べ放題」の魅力は、なんといっても「量」だ。店側の都合で通常よりも提供に時間がかかってしまい、満足に食べられなかった場合、店側に「返金」を求めることはできるだろうか。消費者問題にくわしい岡田崇弁護士に聞いた。



●注文した品が出てこなければ「債務不履行」になる


「一般論として、(1)『客が注文した品物が出てこなかった』とか、(2)『客が注文した品物は出てきたが、著しく不十分な内容であった』という場合には、その責任は店側にあるといえます。



法律用語では、(1)のケースを『債務不履行』、(2)のケースを『不完全履行』と言います。こうしたケースにあたる場合、代金を支払う必要がありませんし、支払済みなら返還を求めることができます」



●「食べた分」は支払わなければならない


それでは、食べ放題はどうだろう?



「今回のケースは『パンケーキの食べ放題』ということです。



たとえば、少し極端な例ですが、『数時間もかかって、2皿しか提供を受けられなかった』とすれば、パンケーキの食べ放題としては、著しく不十分な内容であったと評価できます。



こうした場合、店側の『不完全履行』ということになるでしょう」



その場合、法律上、客側は料金を返してもらえるのだろうか?



「法律としてはそうなりますが、不完全履行の場合、お客さんは必ずしも全額、返金を要求できるわけではありません。



食べ放題としては不十分だったとしても、パンケーキを2皿食べたなら、食べた分だけは支払う必要があるのです。



まとめると、客は『食べ放題』の代金である999円から、パンケーキ2皿分に値するお金を差し引いた部分について、返金請求できるのではないかと判断されます」



ただ、食べ放題の場合、何皿食べるかはその人しだいなので、2皿食べたならいくらというのはなかなか難しそうだ。



「999円という価格や、14時から18時という実施時間帯からすれば、店側は、客がそこまで大量に注文するとは想定していなかったのではないでしょうか」



岡田弁護士はこのように分析していた。


(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
岡田 崇(おかだ・たかし)弁護士
大阪弁護士会・消費者保護委員会委員(平成18年・19年度副委員長)、日本弁護士連合会・消費者問題対策委員会副委員長、関西大学法科大学院実務家教員(消費者取引法)
事務所名:岡田崇法律事務所
事務所URL:http://www.okadalaw.jp



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