「アルバイトをしないと生活できません!」 ライブ収入がほぼゼロの時も...!? アイドルの低すぎる収入の実態

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2014年11月11日 02:10  おたぽる

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おたぽる

やっぱり現実はきびしいものです。

■加藤未来のアイドルだって人間だよ! 第3回



 2012年にアイドルとしてデビューし、現在はアイドルの振付師として活躍する加藤未来が、現役アイドル&アイドル志望者に伝えたい業界裏話を暴露。第3回は「アイドルの収入」。交通費を稼げれば御の字!? アルバイトをしなければ生活できない、アイドルの悲しい懐事情をレクチャー!



――今回のテーマは、"アイドルの収入"です。先月、主催ライブを行ったそうですね。ライブ会場を借りるだけでもかなりお金がかかると思うし、実はけっこう儲かっているんじゃないんですか?



加藤未来(以下、加藤) いやいや、そんなことないですよ! ライブ会場はピンからキリまでありますが、主催ライブをする場合はだいたい4時間くらい借りて料金が5〜6万円くらいの会場を使用しています。それにアイドルの収入はチケットバックと物販の収益だけなので、アルバイトをしないと生活できないです。



――チケットバックというのは何ですか?



加藤 「チケットバック」とは、出演するアイドルが自分のお客さんを一人呼ぶごとにもらえるお金のことです。地下アイドルのライブチケット代は、有名なアイドルが出演する場合は4000円以上しますが、普通は2500円〜3500円が相場なんです。このうち、お客さん一人につき500円〜1000円をチケットバックとしてアイドルがもらうことができます。ただ、1000円はけっこう良心的で、普通は500円ですね。私の主催ライブの時もチケットバックは500円でした。イベントによっては5人目のお客さんからチケットバックが発生するということもあります。



――出演料というのはないんですか?



加藤 何かのイベントに呼ばれて歌を歌う場合は"仕事"として1ステージ1万円〜5万円くらいの出演料もらうことはあります。でもアイドルの対バンライブなどの場合、出演料はなくてチケットバックのみです。



――では、そのチケットバックでどのくらい儲かるんですか?



加藤 事務所に所属している場合やグループに入っている場合は、チケットバックをもらえない場合もありますが、フリーランスとしてソロ活動しているアイドルなら、チケットバックは全部自分に入るので、お客さんを呼べる子ならけっこう儲かっていたりするようです。私はチケットバックでもらえる金額がよかった時に、2万円くらいの収益がありました。でも、チケットバックはその時のライブを観に来たファンの人数にも左右されるので、まったく収益がない日もありますよ。



――より多くのファンが来るように工夫していたことなどありましたか?



加藤 予約をして前売りチケットを買うと、チケット代を500円値引きするサービスをしている主催者のライブもあります。前売りでチケットが安くなる場合でも、チケットバックの金額はあらかじめ決められているので、低くなることはありません。なので、前売りチケットに特典をつけて、ファンに買ってもらおうとするアイドルもいたりします。私はライブチケットを買ってくれたファンに手作りクッキーやプリクラ、お手紙をプレゼントしていました。



――一方で、物販ではどのくらいの収益を得ていたのでしょうか。



加藤 収益のほとんどは、チケットバックよりも物販によるものでした。ちなみに、主催ライブの時は物販で5万円くらいの収益がありました。一般的な商品の値段ですが、チェキ【編注:インスタントカメラでアイドルと一緒に写真を撮ること。最もよく使用されているインスタントカメラの商品名が語源。】が1枚500円〜1000円です。有名なアイドルだと1枚3000円とかありますけどね。そのほかに、私の場合は手作りのCDをシングルは1枚500円、アルバムは1枚3000円で売っていました。手作りのTシャツも1枚2500円で売ったこともあります。それと、ブロマイドを作るアイドルもいて、2枚1000円くらいで売っていました。中には5枚セットで売っている子もいます。商品の値段はフリーランスのアイドルは自分で決めますが、事務所所属の場合は事務所と相談して決めたり、事務所が決めたりします。



――ネットで調べたのですが、加藤さんのチェキはソロで活動していた時が1枚500円で、ユニットに所属していた時は1枚1000円だったそうですね。なぜソロとユニットとで金額が違うのでしょうか?



加藤 ユニットに所属していた時にチェキ代が値上がりしたのは、一緒にライブをするほかのアイドルさんたちと金額を合わせたというのがあります。どうやら、チェキの値段はまわりのアイドルたちと同じ値段にするという暗黙のルールがあるようです。



――チェキ代が安いアイドルがいると、みんなそこに流れてしまうからという理由からなのでしょうか?



加藤 逆もありますね。チェキ代が安いと、アイドルとして安く見られてしまうこともあります。アイドルの価値はチェキやブロマイドの値段に現れますから。だから、チェキの値段が上がったことは、事務所がきちんとタレントとしての価値を高めてくれたという意味もありますね。



――では、タレントとしての価値が上がると収益も上がるということなのでしょうか?



加藤 一般的に事務所とタレントの利益配分は、事務所が6〜7割でタレントが3割です。ソロの時はそれなりにもらっていましたが、ユニットに入ってからは交通費分を稼げたらラッキーという程度でしたね。私の場合、ユニットに加入したらソロ時代のお客さんがライブに来なくなってしまったので収入はほぼゼロでした。



――え!? ユニットの方が儲かっていそうなイメージがあったのですが......。



加藤 ユニットの方がソロアイドルよりもマネジメントにお金がかかるんですよ。だからアイドルがもらえるお金はどうしても少なくなってしまうんです。ユニットの時は事務所が全部衣装を揃えてくれたし、物販の商品も用意してくれました。私、ソロの時は事務所が私にかけてくれるお金がなくて、自分で衣装や物販の商品を用意していたんです。周りのアイドルさんが衣装を用意してもらっていたりするのを見て、うらやましいと思った記憶があります。



――つまり、ユニット時代は全部事務所が動いてくれてタレントとして扱われていたということですかね?



加藤 そうですね。今まで自分がやっていたことをやってもらえたので、タレントはこんなにもやらなくていいのかと思いました(笑)。ユニットになってから収益はほとんどなくなりましたが、自分に対して多くの人が動いてくれて、またお金もかけてもらえていたので、とてもありがたいとは思いました。



――ユニットよりソロのが儲かるという話ですが、ソロの時は自分で衣装や物販の商品を用意していたとのことなので、その分の経費は発生していますよね。



加藤 そうですね。ユニットより儲かるソロアイドルですが、かかった費用を引いたらかなりマイナスになります。とにかく、アイドルは安定した職業じゃないということは知ってもらいたいですね。歩合給のほかに固定給もあるアイドルは、よほど将来を期待されている人か裕福な事務所に所属している人くらいで、普通は完全歩合制です。アルバイトをしなければやっていけません。私もアルバイトをしながらアイドルをやっていました。



――アルバイトとアイドル業で1ヵ月どのくらいの収入だったんですか?



加藤 ユニットの時はアイドル業でほとんど稼げませんでしたが、ソロの時はアルバイトで10万円、アイドル業で10万円くらいでした。でも、ソロの時は自分でライブの時に歌う曲を買ったり、チェキで使うカメラやフィルムを用意したりしていたので出費も多かったですし、CDも自分でパソコンを使ってジャケットをプリントアウトして作っていたので作業時間もかなりかかりましたね。



――作業時間も時給に換算するとわりに合わないのかなという気もします。



加藤 そうですよね。まぁ、自分で何かを表現したり創作したりするのが好きだったから仕事が趣味みたいな感じで楽しかったですけど。それに物販の在庫を調整すれば少しは貯金もできましたし(笑)。



――アイドルって儲かっているように見えても、実際は出費が多いんですね。



加藤 話は最初に戻りますが、主催ライブをした場合もチケットバックや物販で収益がそれなりに出ても、結局会場費などの出費が大きいので手元に残るお金は少ないですよ。



――それでも主催ライブを開くんだからすごいと思います。



加藤 でも、ほとんどのアイドルはだいたいデビューして1〜2年くらいで主催ライブを開きますよ。アイドルになって1周年や自分の誕生日などのイベントに合わせて開催することが多いです。主催ライブには自分がお世話になった仲のよいアイドルを呼ぶので、自分の節目となる時に、お世話になった人たちに祝ってもらえるというのもあるんです。



――でも、やはり興行的には失敗......ということもあるのでは?



加藤 主催ライブをやってもお客さんが来てくれなかったら悲惨ですよね。昔出演したあるアイドルさんの主催ライブはステージもボロボロで、お客さんも3人くらいだったことがありました。会場費を押さえるために安いライブハウスを選んだんだとは思いますが、駅から遠いし周りにコンビニすらなくて、とても行きづらいところだったのが原因のひとつではないかと思います。経費をなるべくかけないことも大切ですが、お客さんに来てもらうためにはライブハウスの立地条件も考える必要があるんです。私は上野で主催ライブを開いたのですが、上野を選んだのは交通の便がよくて来やすいし、お客さんに買い物や食事といったライブ以外でも楽しんでもらえる場所だったからなんですよ。



――なんだかビジネススキルが身につきそうですね。



加藤 そうなんです! 主催ライブでの会場費の安い高いだけでなく、そもそも自分の売り上げがどのくらいで、自分はどれだけの人を呼べるのか把握していないと赤字になってしまいますから。モーニング娘。さんなどの振付をしている夏まゆみさんの著書にも「ビジネスを学びたければアイドルを見ろ」というような話があります。私も実際に経験をしてその意味がわかりましたし、今でもいろいろと学んでいます。



■加藤未来が教えるアイドルが心得るべきお金の三ヵ条



その1 アイドルは完全歩合制である。
収入は安定していません。ほとんどのアイドルはアルバイトをしています。実家暮らしならまだしも、一人暮らしの場合はアルバイトをしないと生活ができません。



その2 アイドルの収益はチケットバックと物販。
ライブに自分のファンが来ないと収益はほぼゼロ。一人でも多くのお客さんに来てもらうためにTwitterなどのSNSを活用したり、フライヤーを作ったりして努力しています。



その3 事務所が自分にお金をかけてくれる場合、収入は少なくなる。
すべてやってもらう代わりに自分の収入が少なくなるか、ある程度の収入をもらって自分ですべてをやるのか。何かを得るためには何かを捨てなければいけないのです。
(取材・文/スメラギケイ)



■加藤未来
1991年9月3日生まれ。2012年4月の「春のラジ館まつり2012」でソロアイドルとしてデビュー。2013年7月にFleur*に加入し、ユニットでも活動。2014年4月にアイドルを卒業し、現在は振付師として活動中。デビュー以前からバックダンサーとしての豊富な経験があり、現役アイドル時代もステージのダンスは自分で振付をしていた。12月23日に2回目の主催ライブを開催予定。



[加藤未来オフィシャルブログ「天然記念人物ミライ」]  http://ameblo.jp/kato-miku/
[Twitter]  https://twitter.com/39notweet



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