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最近は、どうも医療に関しての不信感が蔓延しつつあるようです。数年前、あるウイルス感染の専門家が「インフルエンザワクチンは打たないで!」と題する書籍を出版し、「ワクチンは劇薬で副作用ばかりで、まったく効かない」と述べたことも少なからず影響しているようで、「インフルエンザの予防接種は意味がない」といった情報がネットを中心に広まっています。
では、本当にインフルエンザワクチン接種には意味がないのでしょうか?この点に関して、確実であろうと思われる情報に基づいて解説します。
まず、厚労省ホームページの「インフルエンザワクチン季節性インフルエンザと新型インフルエンザ」に関する参考資料によると、「WHOの公式見解からは現行の不活化ワクチンの接種では、ウイルス感染を防御できず、インフルエンザの発症、入院、死亡に対する効果には限界がある。ウイルス感染そのものは抑えることはできないが、重症化、肺炎、死亡のリスクを下げることはできる」とあります。
さらに「ワクチンの有効性は100%ではなく、予知できない副作用が出現する可能性もあるが、有効性が十分に確認されたワクチンを少数者に接種するよりも、有効性が多少不十分なワクチンでも多数に接種した方が、社会全体での流行と健康被害に対する抑制効果は高い」と記載されています。実際に、インフルエンザワクチンの接種で他人への感染性を減らし、集団感染予防に役立つことを「示唆する」論文はあります。
また、日本の研究でも、小児へのワクチン投与が流行を防ぎ、高齢者の死亡を減らすことが示唆されています。いくつかの信頼できる様々な研究を総合すると、65歳以下のインフルエンザ発症のうち、ワクチンを接種すれば70〜90%ぐらいは予防できるだろうと考えられます。
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日本においては、冒頭に紹介した書籍が論拠の一つとしている1987年の通称「前橋リポート」が殊更に取り沙汰される傾向があるようですが、一研究の論拠のみに注目して他は顧みないという態度はあまり科学的とはいえません。
以上のようなことを考慮すれば、今までにインフルエンザに罹患したことがなく、ワクチンの副作用を心配する気持ちが強い場合は、自身の判断で「あえて接種をしない」という選択もありかもしれません。
しかし、大多数での確実な証拠ではないにしろ、ワクチンの明らかな有効性を担保するデータは実際には多数存在しますので、今シーズンのように、ここ数年で早めに流行が始まった時などは、ワクチン接種をしないことによるデメリットの方が大きいのではないでしょうか?
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