マクラーレン・ホンダF1密着:アロンソの奇妙なクラッシュ、原因は強風か、感電か?

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2015年02月23日 11:20  AUTOSPORT web

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アロンソは事故後ヘリで緊急搬送、サーキットは一時騒然となった
バルセロナF1テスト最終日の午後12時35分、フェルナンド・アロンソのドライブするマクラーレン・ホンダMP4-30はターン3の出口で挙動を乱し、イン側のコンクリートウォールにきわめて浅い角度で当たり、壁に沿ってしばらく走ったあと、ようやく止まった。フロントウイングを壊した以外ほとんどマシンにダメージはなく、ノーズもサスペンションも完全に原形を留めていた。

 しかし、アロンソは自力でコクピットから降りることができず、メディカルチームによって救急車でメディカルセンターへと搬送された。そこでサーキットドクターによる処置を受けたのち、すぐさま救急ヘリでバルセロナ市内のホテルへ搬送された。

 事故直後は、メディカルセンター前にメディアが殺到して物々しい雰囲気になったが、アロンソの容体がそれほど深刻なものではないということが判明すると安堵の空気が流れた。

「彼は意識があり、ドクターとも会話をしていました。しかし、さらなる精密検査のためにヘリでバルセロナ市内の病院へ搬送されることになりました」

 チーム広報はその場でこのように説明し、その後のCT検査でも異常は見られなかったと言う。アロンソは経過観察のため、その夜は病院に留めるという措置がとられた。

 マクラーレンはMGU-Kに再対策部品を投入、十分な走行が可能と見ていた最終日は、3日目までの走行状況を鑑みて、午前はアロンソが走り、午後はジェンソン・バトンに交代する予定に変更していた。だが、事故原因がすぐには究明できない以上、チームは20周を走ったこの時点で走行を切り上げるしかなかった。

 テスト最終日はマシンの準備に手間取り、朝9時の時点で、まだジャッキアップされてフロントの足まわりなどが整備されている状態だった。走行を開始したのは午前10時57分になってから。5周程度のランを繰り返して、データ収集を進め始めた矢先のことだった。

 当初から最終日のセッション終了直後にはエンジニアたちがイギリスに戻って次回のテストに向けた準備作業に当たることとなっていたこともあり、首脳陣も含めた主要メンバーは早々にサーキットを後にした。現場での事故原因の究明は見送られたようで、いまだマクラーレン側から原因に関する発表はない。チームとして一切の取材を受け付けず公式声明の発表で対処するという方針が明示されたため、メディアは粛々と事実のみを報じるしかなかった。

 事故の原因については、朝から吹き荒れていた10〜15m/sの強風を疑う声がパドックでは強かった。午後にターン3で同じようにコントロールを失いクラッシュを演じてしまったカルロス・サインツJr.もそう語る1人だった。

「朝から風が強く、高速で180度曲がり込むターン3で風がクルマの挙動を不安定にしたんだ。常に吹いているならいいんだけど、ラップによって吹いていたり吹いていかったりと不安定だったのが僕らドライバーにとっては厄介な問題だった」

 あるチームの上級エンジニアは、それに対して懐疑的な見方をする。

「風の影響はマシンの空力特性によってそれほど大きくなかったり、逆に強く出たりする。マクラーレンが言っているように、あのクルマが本当にドライバーフレンドリーな空力特性を目指して設計されているのだとしたら、風の影響はそんなに強く出ないはずだが……」

 一部では、アロンソがERSからの漏電によって感電したのではないかという噂もある。そうだとしたら事故の衝撃がさほど大きくなかったにもかかわらず救急搬送された理由も納得がいく。アロンソの直後を走っていたというセバスチャン・ベッテルは、それほど速い速度で走っていたわけではなかったが突然右に逸れたと話しており、その証言とも一致する。しかし、現段階ではあくまで憶測の域を出ない。

 いずれにしてもマクラーレン・ホンダにとって重要なバルセロナ合同テストで満足な走行ができないまま終わってしまったことは動かしようのない事実だ。事故の原因究明とともに、車体とパワーユニットが抱えた問題をきちんと解決しなければならない。

 開幕まで残り4日間の合同テストで、どこまで挽回できるのか、彼らは2月26日から再開する最後の合同テストに背水の陣で臨むことになる。

(米家峰起)

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