INKT・田中聖の新たな挑戦 元ジャニーズの“良き兄貴分”は再び輝けるか?

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2015年04月26日 08:11  リアルサウンド

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INKT『サイサリス(CD+DVD)』(Natural Ace Records)

 元KAT-TUNの田中聖がKOKI名義でボーカルを務める、ロックバンド「INKT(読み方:インク)」が、4月25日にセカンドミニアルバム『サイサリス』をリリースした。デビュー作となったファーストアルバム『INKT』から約半年。前作は、荒削りでほとばしるようなパワーが爆発しているような勢いあるヴィジュアルとサウンドが印象的だったが、今作は「サイサリス=ほおずき」をコンセプトに幻想的な世界観で魅了している。デビューから約半年。今年1月には東京、2月には大阪で単独ファーストライブを成功させ、バンドとしての一体感をさらに高めてきた印象だ。


参考:元KAT-TUN・田中聖、バンド「INKT」で目指すもの アイドルからアーティストへの変貌なるか


 一方で、ジャニーズ事務所との度重なるルール違反の果てに、契約解除となった田中だけに、世間の眼差しはまだまだ厳しい。とあるインタビューで、今後の目標として世界を視野に入れた活動や、学園祭ライブで「若者に夢を与えたい」と発言するやいなや、「上から目線ではないか」「自分がルールを守らなかったのに…」などと、ネット上では批判の声も目立った。


 しかし、彼の本当の姿を知っている人であれば、こうした発言も納得のものだろう。ジャニーズ事務所にいたころの田中は、常に後輩たちから相談を持ちかけられる兄貴的な存在だった。デビューまでの厳しい道程を歩んでいたKis-My-Ft2の藤ヶ谷太輔には「自惚れろ」という言葉を贈ったこともある。また、Hey!Say!JUMPの山田涼介も「兄貴」と呼び、頻繁に連絡を取り合っていた仲だったというのも有名な話。


 田中自身、男ばかりの5人兄弟の次男として育ったことから、ごく自然に兄貴としての役割を担ってきたのだろう。その人間力があってこそ、今のセカンドチャンスにつながっているのではないか。


 たしかに、ルールを破ることはよくない。だが、それほどに自分のやりたいことに熱中するパワーを今どれだけの人が持っているだろうか。仮に、自分がいいと思うものへ素直に突き進む姿勢が、大きな過ちになったとしても、それを挽回するチャンスは必ず巡ってくる。そんなメッセージを田中聖という男の背中に感じる。いわば、ジャニーズの世直し先生。若気の至りを反省するとともに、そんな道を歩んだ自分だから出来るアドバイスがある。そう考えての、「若者に…」発言に繋がったのではないか。


 また、今作のタイトルにもなっている「サイサリス」の花言葉は「偽り」だという。田中が作詞した曲には、「偽らなくていいよ」という呼びかけの意味が込められているのだと、メディアのインタビューで答えているのだ。


 偽りなく自分の思うままに進む。それは、彼自身がずっと貫いてきた軸のようにも思える。自分が今、表現したいことを思うままに。その姿勢そのものが、すでに多くの人に勇気を与えていることだろう。5月には東京・六本木にて、セカンドライブも決定し、着実に進化を遂げていくINKTに、今後も期待したい。(佐藤結衣)


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