保育業界「年功序列でトップダウン、前年踏襲をやめるべき」改革のあり方を議論

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2016年06月23日 16:12  弁護士ドットコム

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待機児童問題や保育士不足などについて考えるイベント「緊急招集!保育の問題ってなんなんだ会議」が6月22日、東京都内で開催された。保育士の転職支援を行う株式会社ウェルクス(東京・墨田区)が主催した。イベントには保育園の経営者や現役保育士が登壇し、保育の問題を改善するための対策を議論した。


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●「待遇だけ上げても離職率は変わらない」


イベントに登壇した、全国約100ヵ所に保育園や児童発達支援施設を展開する「社会福祉法人どろんこ会」理事長の安永愛香さんは、「保育士の待遇だけ上げても離職率は変わらない」と述べた。



安永さんによると、日本の保育業界には、「年功序列でトップダウン、日本人が真面目すぎるがゆえの前年踏襲型」という特徴があり、「『今までこうやってきたから』というやり方を昭和30年くらいからずっと引き継いでいる」という。その上で、保育士の待遇を上げても、こうした業界全体の傾向を変えなければ、保育士は仕事のやりがいを感じられず、離職率は変わらないと指摘した。



「まずは、『7月は夕涼み会をやるって決まっているから準備しなさい』というトップダウン型の働き方をやめて、本当に子どもに必要なことを現場が考えて動いていくこと。野球型よりサッカー型の働き方にシフトすること。成果に応じた評価制度と賃金制度を徹底して業界に広めること。そして、仕事の価値を自分で語れる保育士を増やすこと。この4つをなしえないと、待遇だけ上げても業界は変わらない」



安永さんによると、「これからは保育の質が肝になる。生きる力がある保育士が背中で教えていくことが必要だ」という。保育士は、上司から言われた仕事をただこなすのではなく、「それぞれの子どもにどんな力をつけて世の中に出してあげたいか、そのためには何が必要かを、自分で考え行動できるようにならなければならない」と強調した。



●現役保育士「手書きの文化はばかばかしい」


第二部のパネルディスカッションには、現役保育士の女性らが登壇。保育士の資格があるのに保育士にならない「潜在保育士」に復職してもらうためにはどうすればいいか、議論を交わした。



現役保育士の大久保優子さんは、「保育業界全体のやり方が古い」と指摘。「以前の職場も今の職場も書類は全て手書きで、10人の子ども全員について同じ『ねらい』を手書きしなければならない。やっていて本当にばかばかしい」と話し、効率化や仕事内容の見直しが必要だと述べた。



また、現役保育士の林今日子さんは、結婚した保育士の中には、自分が家庭を持つことでシフトに入れなくなるから、という理由で仕事を辞める人が多いと話した。「朝7時から夜8時まで、ローテーションでシフトに入らないといけなくなると、自分の子どもを預けられる保育園がなかなかない」として、保育士が自分の子どもを保育園に預けて働けるよう、配慮を求めた。



(弁護士ドットコムニュース)


このニュースに関するつぶやき

  • 「待遇を改善しろ」と言ったり「待遇を改善しても離職率は変わらない」と言ったり一体どうしたいの?年功序列が嫌なのはわかるけど自分が年長者になった時に同じ事が言える?
    • イイネ!21
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