『この世界の片隅に』の奇跡は続く 3週連続で前週超え、年明けには上映館が3倍に!

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2016年12月08日 13:21  リアルサウンド

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(c)こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会

 『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』の勢いが止まらない。先週末の土日2日間の動員44万5000人、興収6億7700万円という記録は、動員、興収ともに前週比約82%という高推移。新シリーズ「ファンタスティック・ビースト」が成功するかどうかは、観客の母体となる「ハリー・ポッター」シリーズのファンからどれだけ観客層を広げられるにかかっていたと言っていいだろう(似たような成り立ちのシリーズであった「ホビット」はそこがあまりうまくいかなかった)。公開2週目のこの数字は、公開直後に「ハリー・ポッター」シリーズへの忠誠心が高いファンが押し寄せただけでなく、今回の新シリーズで新たなファンを獲得しつつあることを表しているのかもしれない。


参考:来年1月スタートのTBSドラマ、 坂元裕二脚本『カルテット』に寄せる絶大な期待


 大型連休も祝日も関係がない通常の「12月第2週の週末」であった先週、前週比を上回った作品が2つある。一つは、驚くべきことに公開から15週目にして、またもや前週比超えをはたした2位の『君の名は。』。もう一つは、こちらも驚くべきことに公開から3週連続で前週比を超える数字を記録し、遂にはトップ5内の4位にまで上昇してきた『この世界の片隅に』だ。


 特に『この世界の片隅に』を取り巻く熱は、まさに異常事態である。63館という小規模公開でスタートし、最初は都市部の劇場で、やがて日本全国の劇場でも、ウィークエンドも含めて連日満席興行を続けている『この世界の片隅に』。動員ランキングでの上昇の背景には、公開館数が82館(3週目)→87館(4週目)と徐々に拡大されていることがあるわけだが、現状、ほぼ満席状態が続いているため、全スクリーンのキャパシティにほぼ比例して動員が増えているというすさまじいことになっている。


 『この世界の片隅に』の上映館は今週末には90館まで拡大。先日、片渕監督自身が「年明けにほんとに上映が拡大します。びっくりするくらい。今お客さんが入ってくださってることを、たくさんの映画館の方々が信じてくださったからです。まだまだがんばらなくては」とツイートしていたように、ここから年末年始にかけても順次館数が増え、12月6日に作品の公式アカウントが告知したところによると、年明けには公開時の3倍を超える190館(累計)での上映が決定しているという。


 ちなみに2015年の映画興行は、外国映画の好調もあって秋まで記録的な数字を積み上げていたが、11月に入ってからどっと落ち込んでしまった。2016年の『君の名は。』と『この世界の片隅に』は、日本中から「ガラガラの秋のシネコン」を消滅させたことにもなる。この2作はあらゆる意味で前例のない広がり方をしている作品ではあるが、公開直後に動員が偏向せず、ロングラン興行に移行することが多いアニメ作品(これはディズニーやピクサーの海外アニメ作品にもしばしば見られる傾向だ)は、何よりも映画館を運営する興行サイドにとって、今後もますますその重要性を増していくことだろう。(宇野維正)


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  • だって良かったもの「君の名は」より百倍以上。原作のよいとこを余すとこなく伝え、原作のわかりにくい部分は上手にまとめたし。
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