吉村界人、なぜ出番少なくとも存在感がある? 『獣になれない私たち』の“空気を読まない”不敵さ

0

2018年11月14日 10:02  リアルサウンド

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

リアルサウンド

写真

 主演・新垣結衣と脚本・野木亜紀子の『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)タッグにより、大きな期待を背負ってスタートした『けもなれ』こと『獣になれない私たち』(日本テレビ系)も中盤へと入った。軽いタッチを想像していた視聴者にとっては予想外の作品カラーに戸惑いも見られたが、ドラマ史上に残る、これまで見たことのない「幸せなら手をたたこう」演出など、視聴者をじりじりと深みへと引きずり込んでいる。そんな『けもなれ』で、個性を発揮している若手役者がいる。田中圭の同僚を演じている吉村界人だ。


 ガッキー演じる深海晶と田中圭演じる花井京谷は、京谷の元恋人・朱里(黒木華)の存在を断ち切れずに堂々巡りを繰り返しているが、そんな京谷の私生活に、吉村の演じている筧文彦が鋭く切り込んでくる。京谷の言動に現れる違和感を逃さず、京谷が誰かと同居していること、その誰かが恋人の晶ではないこと、さらに別の誰かとお泊りしたまま会社に来たことといった、親しくもない会社の同僚などには知られたくない、プライベートのなかでもより守りたい事実に、文彦はグイグイ踏み込んでくる。空気を読めないというより、“読まない”不敵さで。


 一見、無神経な嫌われキャラだが、どんな方向にせよ、停滞しがちな空気を動かす様子に、次第に、いつ登場してくれるだろうと期待してしまう貴重なキャラクターになっている。少ない登場シーンながら、視聴者の頭にきっちりと存在を残しているのは、吉村の巧さゆえだろう。


 ワークショップオーディションから演技の道に入った吉村の俳優デビューは2014年。鋭さと同時に奥に引き込む深さを持った眼差しと独特のオーラから、ファッション界からも注目を浴びており、その一端を感じられるInstagramも人気の25歳だ。


 いわゆるイケメン俳優とは違う立ち位置で存在感を示す吉村には、作り手側も触発されるようで、デビューからまだ4年ながら『太陽を掴め』『サラバ静寂』「TANIZAKI TRIBUTE『悪魔』」など、主演映画も多い。


 一方、TVドラマでは主演を支える脇として引っ張りだこだ。昨年、今年と7本ずつのドラマに名を連ねている。昨年7月期に放送されていた『僕たちがやりました』(カンテレ・フジテレビ系)と『わにとかげぎす』(TBS系)では、不良役と童貞男子を演じ分け、さらに今年7月期には『GIVER 復讐の贈与者』(テレビ東京系)、『グッド・ドクター』(フジテレビ系)、『健康で文化的な最低限度の生活』(カンテレ・フジテレビ系)の3作品に出演。中でも『GIVER』で演じたぶっ飛んだ爆弾魔は吉村の真骨頂といえた。


 そして第6回を迎える『けもなれ』では、個性的なキャラクターの宝庫である晶の勤務先に、文彦が登場するという。どんな化学反応と副産物を生み出すのか、楽しみだ。(文=望月ふみ)


    ニュース設定