火球の一部「習志野隕石」は誰のもの? 千葉のマンションで発見、億で取引事例も

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2020年07月14日 17:12  弁護士ドットコム

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国立科学博物館は7月13日、関東上空で2日未明に観測された火球(流れ星)の隕石が千葉県習志野市で見つかったことを発表しました。


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今後、「習志野隕石」として国際隕石学会に登録申請するといいます。隕石はマンションの敷地内に落ちてきたそうです。自分の家に落ちてきた隕石は自らのものにできるのでしょうか。



●億単位で取り引きされる隕石も

7月2日未明、関東上空に大きな火球が確認されました。爆発や破裂音を聞いたという報告もなされました。



当時のツイッターでは、「火球の音」や「上の階の人」がトレンドに入っています。幸運にも音を確認した人や、その音を上階に住む人の生活音と勘違いした人が続出したようです。



発表などによると、住人がマンションの共用廊下や中庭で隕石を発見し、科博に問い合わせたそうです。



さて、落ちてきた隕石は誰のものでしょうか。たとえば、今年5月のCNN報道によると、サハラ砂漠に落ちた月隕石は250万ドル(約2億6700万円)で売りに出されているそうです。



日本航空宇宙学会に所属し、宇宙法にも理解がある作花知志弁護士に聞きました。



●自分の土地に落ちてきた隕石は「自分の物」にできる

ーー遠い宇宙から飛んできた隕石の「所有権」について教えてください



月などの天体を含む宇宙空間は、国連で採択された国際条約である宇宙条約や月協定により、国家による領有が禁止されています。



ただ、これはあくまでも宇宙空間についてのものであり、宇宙から落下してきた隕石については、その落下した国の国内法によって規律されることになります。



ーー日本に落ちてきた隕石であれば、日本の法律によって所有権が決まるのですね



はい。たとえば、隕石が、日本国内にある自分の土地に落ちてきた場合は、民法239条1項により、「所有の意思をもって占有(所持)」することで、自分の所有物とすることができます。



●土地に埋まっていない隕石は「誰の物でもない」

ーー隕石が他人の所有する土地に落ちた場合はどうなのでしょうか



隕石が他人の土地に埋まってしまった場合には、民法242条によって、その土地の持ち主の所有物となります。一方、土地に埋まっていない場合は、『誰の所有物でもない隕石』が他人の土地の上にあることになります。



その場合は、自分の物にする意思でそれを見つけて手にすれば、自分の所有物とすることができます。もっとも、勝手に他人の土地に入れば、住居侵入等の問題が生じる可能性がありますが。



ーー「習志野隕石」が見つかったのはマンションでした。この場合はどう考えればよいのでしょうか



この場合は、マンションに今住んでいる人が隕石を発見されたのなら、隕石の「占有者」となりますので、やはり民法239条1項により、「所有の意思をもって占有(所持)」することで、自分の所有物とすることができます。ただし、例えばマンションの壁などに埋まってしまって取れない場合には、民法242条によって、そのマンションの持ち主の所有物となります。今マンションに住んでいる人がマンションの所有者なら、いずれにしてもその方の所有物になります。




【取材協力弁護士】
作花 知志(さっか・ともし)弁護士
岡山弁護士会、日弁連国際人権問題委員会、国際人権法学会、日本航空宇宙学会などに所属。
事務所名:作花法律事務所
事務所URL:http://sakka-law-office.jp/


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