元妻(ナナミ)とは喧嘩が絶えなかった。揉める原因は主に金と交友関係のことだ。元妻は金遣いが荒く、しかも男女問わず交友関係も幅広かった。娘(サラ)が生まれてからは、育児で思うように動けないストレスもあってか、もともと荒かった金遣いがますます激しくなり、俺(ユウタ)が帰宅するとすぐさまサラを俺に預けて、夜に出かけることもあった。
その後、元妻の両親の協力もあり、元妻と会うことができた。元妻は不倫をしていて、サラを置いて当時付き合っていた男と逃げていたのだ。サラの親権は俺がもつことになり、「この度は申し訳なかった」と頭を下げる元妻の両親から僅かながらの慰謝料をもらい、1日でも早く離婚を成立させたかったから、養育費はナシで離婚が成立した。
俺は実家に戻り、両親の手助けもありながらひとりでサラを育てていた。サラはわずか2歳でママに出て行かれたということもあり、ママの記憶はまったくなかったし、元妻もサラに会いにくることは一度もなかった。
サラのことを置いて男と出て行ったなんて……一生サラには言わないでおこう。これ以上、サラを傷つけないように、俺はたくさんの愛情をサラに注ぎ、サラも素直にスクスク育ってくれた。シングルペアレントとしての生活も順調に進んでいたんだ。
【第2話】へ続く。
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