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前回からの続き。私はチハル。夫のヨシキと娘のナナ、息子のシュンの4人暮らしです。私は幼いころから父や兄にバカにされ、兄に自分の物を貸しても戻ってくることはありませんでした。そんな家族からいつも守ってくれていたのが、優しい母。しかし2年前、その母が亡くなってしまったのです。母が亡くなってからは、年末年始とお盆以外は実家に行かないようにしていたのですが、たまたま帰省していたときに兄から「成人式の着物を貸せ」と命令されて……?
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![3-3](https://image-select.mamastar.jp/interspace/wp-content/uploads/1700142927-c80faa6e2df008a0bb27d306b9f7dee1-1200x1600.png)
わが子のために着物を大事に置いておくことがダメなことだとは思えません。なんでこんなに大声でなじられるのでしょうか。私は自分の気持ちを譲る気はないです。……ただ、子どものころからの癖で、強く言われると何もできなくなってしまうのです。(怖い……逃げたい……)私は否定することも、兄や父と目を合わせることもできず、身体が固まってしまいました。とても情けない気持ちです。その私の様子を察した兄は薄ら笑いをうかべ……。
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私は大切にしまってあった着物を見つめます。兄に貸した……というより取られたものは無事に返ってきたことがないのです。ものによってはどこか汚れて返ってきたり、壊れていたり……最悪の場合そのまま売られていたこともあります。それだけはどうしても避けたいのです。たとえ「売らない」「汚さない」と約束されても、無理なのです。私は兄の申し出を無視して、着物を送ることはありませんでした。すると……。
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父も兄も、私が着物を貸すことを既定路線のように話してきました。けれど、どうしてもこの着物だけは貸せないと思ったのです。ただ、貸さないとどうなるかわかりません。母が守ってきた「家族の輪」を私が乱してしまうかと思うと、母に申し訳なくなるのです。でも、兄からの言葉が忘れられません。「お前、どうなるかわかってるよなぁ……?」これでは脅しです……。恐怖で何も考えられなくなります。嫌だけど、ここは諦めて着物を貸した方がいいのでしょうか……? 悩みは深くなるばかりです。
【第4話】へ続く。
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