「他人の説明文コピペ」機能にユーザー反発 メルカリ「著作権問題ないが、真摯に受け止める」

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2024年03月12日 19:51  ITmedia NEWS

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商品説明文の下に左のようなボタンが実装された。タップすると、出品画面に遷移する

 フリマアプリ「メルカリ」に、他人の出品物の説明文を簡単に丸ごとコピーできる機能が実装され、賛否両論が沸き起こっている。


【説明文が“丸コピ”された画像】


 「説明文を書く手間が省けて便利」と歓迎する向きもあるが、「勝手にコピーされるのは不快」など否定的な意見も。「説明文に著作物性が認められる可能性があり、著作権法上も問題があるのでは」という指摘もある。


 こうした声についてメルカリの広報担当者に聞いたところ「お客さまの声は社内でも真摯に受け止めている」とコメント。著作権については「規約に則した使い方で問題ない」という見解を示した。


 いったいどんな規約なのか。新機能の狙いとあわせて解説する。


●文章の書き方が分からないユーザーにも気軽に出品してほしい


 新機能は3月7日にアプリに実装。他ユーザーが出品している商品説明文の下に「商品の内容をコピーして出品する」ボタンが登場した。


 タップすると、ユーザー自身の出品画面に遷移。閲覧していた商品の商品名、カテゴリー、サイズ、ブランド、状態、説明文などが、そのままコピーされた状態で下書きが作られる。


 新機能の狙いは「出品に関する作業をできる限り簡易化し、手間を軽減すること」だと同社は説明。「出品の際に『文章の書き方がわからない』『自分で文章を作るのが難しい』などの理由で出品を断念した声が多く届いていた」ため開発したという。


 実装前、開発予定の画面をユーザーに見せて感想を求めたところ「他のユーザーの情報を参考にできたので、出品への手間が減り、やりやすくなりそう」など前向きな意見が得られたという。


●「著作権法上問題ない」 理由は「メルカリ規約21条」


 ただ、工夫を凝らした説明文には著作物性が認められる可能性もあり、無断でコピペ・公開することは、著作権法違反に問われる可能性もあるのではないか。


 この疑問に対してメルカリの担当者は「著作権法上の問題はない」と話す。その根拠は、メルカリの利用規約。知的財産権について定めた第21条の第2項だ。


 「出品者により投稿された出品物の写真、動画、情報等に関しては、本サービスの宣伝、運営、研究開発及び発表等を目的として、弊社及び弊社の指定する者が自由に利用できるものとします」と書かれている。


 つまり、「ユーザーがメルカリに投稿した文章や画像は、メルカリの運営などを目的に、 “メルカリが指定する者”が自由に利用できる」ということのようだ。


 新サービスでは「メルカリが指定する者」に「他ユーザーの説明文を利用したいメルカリユーザー」があてはまるとみられ、ユーザーがメルカリに投稿した文章を、「メルカリの運営のため(新機能などのため)」に他ユーザーが使うことは、この規約で許諾されている、と読める。


 また、「メルカリは他ユーザーの説明文のコピーを禁止していたはずでは?」という意見もあった。


 メルカリのユーザーガイドを確認すると、「他会員が撮影した画像を無断で使用すること」「メルカリサイト“外”に記載された文章や画像を無断で使用すること」などを禁止しているが、メルカリサイト“内”の文章の無断利用についての記載はないようだ。


 規約とユーザーガイドの解釈が上記で正しいか、改めて同社にただしたところ、「今回の機能は、メルカリガイドやメルカリ利用規約の定めの範囲内で提供しており、禁止行為である『他会員が撮影した画像や、メルカリ外にある画像/文章などを無断で使用すること』には該当しない」との回答を繰り返すのみで、個別の解釈の正確性についてのコメントは得られなかった。


●文章が書けるユーザーに“ただ乗り”?


 メルカリユーザーの中には、商品の説明文をできるだけ詳しくしたり、表現を工夫するなど、労力を割いている人も多い。


 説明文コピペ機能は、「自分で文章を作るのが難しい」ユーザーのためのもの。逆に言えば、「自分で文章を作ることができる」ユーザーの能力に“ただ乗り”しているとも言え、苦労して書いた文章を他人に簡単に“丸パク”され得る機能への反発は当然だろう。


 コピペした説明文の内容が自分の出品物と一部異なっているのに、違いに気づかず出品し、トラブルになる、といったケースも出そうだ。新機能を使う際は「出品する商品とコピーした商品で内容が異なる場合は、出品画面で編集してください」という注意文が出るが、「自分で文章を作るのが難しい」ユーザーが、他人の説明文を推敲・編集する余力があるか、疑いを覚えてしまう。


 ユーザーからの反発について、メルカリに見解を聞いたところ、「お客さまの声は社内でも真摯に受け止めており、今後の開発や機能改善においても参考にしたいと考えている。今後も、より多くのお客さまが便利かつ、安心・安全にメルカリを利用いただけるようにさまざまなサービス開発の検討、推進を進める」とコメントした。


このニュースに関するつぶやき

  • 文章まで盗みやすくするなんて、日本語が苦手な近隣諸国の泥棒への配慮でしょ?さすが現代の泥棒市だけのことはある。
    • イイネ!1
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