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前回からの続き。私はマホです。レイジと結婚して、3か月前にミナミを出産しました。里帰りしている実家には定年退職した父と専業主婦の母がいます。両親は張り切ってミナミのお世話をしてくれ、私の身の回りのことも全面的にサポートしてくれています。私は居心地のいい実家にずっといたくて、理由をつけて滞在を引き延ばしてきました。しかしある日レイジから「いい加減、自宅に帰ってこないか」と言われたのです。
私の言葉を受けて、レイジは上司に残業が減らせないか掛け合ったそうです。早めに帰宅することなんて本当にできるのでしょうか。妊娠中に「早く帰ってきてほしい」と伝えてもムリだったのに……。
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私は必死で「帰宅できない」理由を探します。「だいたい予防接種だって、お母さんが平日昼間に運転してくれるから行けるわけで……。まだ身体だってしんどいし」「ごめん、産後の傷がどれほど痛むのか、俺にはわからない。けれどこの間は気晴らしに1人でカフェに行っていたし、運転はできているよね?」「そっ……それは私1人だから外出できるわけで……ミナミを乗せて運転なんてまだまだ怖くて……」
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レイジが何を言っても、結局ミナミのお世話や家事をするのは私です。レイジがウチの両親くらいこなせるなら話は別なのですが……。「私もお父さんもお母さんも、ちゃんと育児について勉強したからできるんだよ? レイジはしょせん『手伝う』くらいの意識でいるんでしょ。夜中の授乳、起きられる? ミナミの泣き声に反応できる? だから実家にいるほうがミナミのため……」しかしレイジは冷静に答えました。「ミナミのため……? そうじゃないだろう。はっきり言ってマホは実家依存がすぎるよ。ご両親だってマホやミナミにべったりだし」
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レイジにはすっかり見透かされていたのです。私がひそかに抱いていた「実家の居心地がいい」「ずっと両親と3人で子育てしたい」という気持ちを……。そして「ミナミから父親を奪うな」というレイジの言葉にゾッとしました。私が「まだまだ実家で育てたい」なんて言えば、レイジとは離婚になるでしょう。そうなれば本当にミナミから父親を奪ってしまうことになりかねません。普段は温厚なレイジの厳しい言葉に、現実を突き付けられました。
【第8話】へ続く。
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