東証の取引終了時刻繰り下げは、企業の情報開示姿勢にも影響を与えている。決算発表を従来の時間より遅らせる企業が相次ぐ一方、前倒しする企業もある。取引時間中の開示は一部の数字が独り歩きし、過度な反応を招く恐れがある。こうした中、「投資家との対話」を重視し、市場の昼休み中の開示や迅速な記者会見の開催など工夫する動きも出ている。
決算など重要事項の開示は現在、8割が午後3時の取引終了後に集中している。東証の10月18日時点の調査では、2024年4〜6月期決算を同3時〜3時29分に開示した約1100社のうち2割超の250社以上が、今後は新たな終了時刻となる同3時半以降に開示すると回答した。
これに対し、開示を早めるとしたのは50社強。このうちホンダは9月中間決算を6日午後1時に発表し、午後3時すぎに記者会見を開く。東証が企業に求めてきた迅速な開示要請を考慮したという。
家電販売のヤマダホールディングスは決算開示を8日午前11時半からと前年の午後3時から繰り上げ、会見も開く。「投資家との対話を重視する」(長野毅取締役)としており、市場の昼休み時間帯に開示し、投資家に決算内容を吟味してもらう考えだ。
開示の遅れは「投資家軽視」との批判がある上、情報漏えいによるインサイダーのリスクを高めるが、株価への悪影響を懸念し慎重になる経営者は多い。東証の調査に開示時間を未定とした企業は約150社に上っており、動向が注目される。