ヴィンテージ玩具なぜ人気? 雑誌『まんだらけZENBU』とソフビイベント取材から見るトレンド事情

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2025年01月18日 13:10  リアルサウンド

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ソフビ専門店「まんだらけCoCoo」のショーケース
■幅広い層が列をつくった5周年イベント

 『仮面ライダー』や『ウルトラマン』など懐かしの漫画やアニメ、特撮のソフトビニール人形(ソフビ)の人気が過熱している。秋葉原に店舗を構える専門店「まんだらけCocoo」が12月15日に開店5周年イベントを開催し、店頭でレアソフビの販売が行われた。当日は約650人が行列を作り、お目当てのソフビを買い求めていた。


  開店前に並んでいる人々は圧倒的に男性が多いと想像していたが、ちらほらと女性の姿も見かけた。年齢は幅広く、若者からベテランの風格漂うコレクターまで、実に幅広い。話を聞くと、このイベントのために大阪や仙台など地方から訪れた人もいて、驚かされた。なかには外国人の姿も見られ、列のなかでは英語や中国語が飛び交っていた。これもひとえに、日本の漫画、アニメ、特撮などの評価が海外でも高まっているためであろう。


  想像以上の過熱ぶりに「こんなに並んでいるのか…」と圧倒され気味の人もいたが、列に並んでもその順番で購入できるわけではない。そこからくじ引きで順番を決定するのだ。そのため、くじを引いて番号に一喜一憂する人の姿も見られたし、グループで来場している人の中には、若い番号を引き当てた人に「でかした!」と声をかける人もいた。


  また、現代のソフビブームを牽引していると言っていいバッドボーイズの佐田正樹さん、イジリー岡田さんも列に並び、YouTubeの動画を撮影していた。さらにはテレビの撮影も入っていて、ソフビ人気の過熱ぶりを感じるイベントであった。


 さて、当日に見事1番の整理券をゲットし、1番目に購入できたのは漫才師・笑組のかずおさんである。「奇跡が起きた!」と感じたというかずおさんは、見事、お目当てのソフビをゲットしてご満悦だった。興奮冷めやらぬかずおさんにインタビューを行った。


■お化け屋敷ソフビにご満悦!

――さっそくですが、今日購入したソフビはなんでしょうか。


かずお:ツクダの「お化け屋敷ソフビ」3体セットです。ずっと狙っていたので、購入できて本当に満足しています。この中の“お岩さん”が、バラでもなかなか出ない貴重品なのです。本当はセットでパッケージに入っている状態で完品なのですが、とにかく3体揃っているので珍しいですね。


――ユーモラスで愛らしい造形で素晴らしいですね。このソフビは何かの漫画やアニメのキャラではないのでしょうか。


かずお:オリジナルのソフビですね。ちなみに今回の5周年のイベントで、この“からかさ”も単体で出ていたんですよ。単体で6万円でした。ただ、お岩さんは単体でもそれなりに高いと思います。


――かずおさんのコレクター歴はどうですか。


かずお:僕なんか浅いですよ(笑)。現在、56歳で、25歳くらいの頃から集めているので、30年くらいですね。好きなジャンルはヴィンテージソフビで、コレクションの数は200〜300体くらいですから、決して多くはないんですよ。最初に興味をもったきっかけは、小岩にある「さあどあんくる」の秋葉秀俊さんから教えていただいてからです。


■ヒーローよりも脇役が好き

――ヴィンテージソフビの中でも、どんなキャラを集めているのですか。


かずお:僕はどちらかといえばヒーローを集めていなくて、怪人や怪獣、お化けだったりと、“脇”の方が多いですね。もちろん、ヒーローは好きですよ。でもヒーローは全話を通して出てくるのに、怪獣や怪人は1話のためにわざわざ作られ、あっという間にヒーローにやられてしまう。そのための造形なので、余計に好きなのかもしれません。


――確かに、敵キャラって1回限りのためだけにデザインや着ぐるみを起こすわけで、贅沢な造形ですよね。かっこいい敵キャラもたくさんいます。


かずお:僕は劇団ひまわりに3歳から入っていて、子役の時の『イナズマンF』の第1話で、ウデスパーにさらわれる幼稚園児の1人だったのです。イナズマンに「助けて、イナズマン!」と言いながらも、ウデスパーがかっこいいなと感じていました。


――なんと! そうなのですか!


かずお:ほかにも、スタジオで『仮面ライダーX』の撮影の横でサソリジェロニモを横で見てかっこいいなと思いましたし、『レインボーマン』でも土の化身が好きでした。そういった原体験が、ソフビ好きにつながっているのかもしれませんね。


■高騰だけは勘弁して!

――コレクター歴30年のかずおさんが見て、今ソフビブームが起こっているのは、なぜだと思いますか。


かずお:やっぱりYouTubeで佐田正樹さんやイジリー岡田さんがソフビを取り扱っていますし、僕の知り合いでも青春秘密基地のアオバ君が頑張っています。YouTubeは世界中に発信されているので、影響力は大きいでしょうね。


――今日のイベントでも外国人の方がかなり並んでいました。


かずお:それに、海外にはソフビのおもちゃってなかったんですよね。ポリエステルだとか、プラスチックのものあったのですが、物珍しかったんでしょうね。リアルに作り込まれているソフトビニールの人形で、彩色も鮮やかで、インディーズなどもあるので、凄いと思われて、バーッと広がったんだと思います。


――ソフビの高騰をどのように見ていますか。


かずお:もちろん、注目されるのは凄く嬉しいんです。老若男女に知ってもらえるのは嬉しいし、いいことだと思います。でも、高くなりすぎると本当に困るんですよね。なんとかなりませんかね、という感じです。あまり高騰しないでくださいね、とは言っておきたいですね。


■ソフビブームはどこまで続く?

 記者はほかにも購入した人に話を聞いたが、やはり人気の過熱ぶりを指摘する人が多かった。あるベテランのコレクターは「人気が高まるのは嬉しいが、高くなりすぎると買えなくなるので困りますね」と、やはり複雑な心境を覗かせていた。


 また、「ここまで盛り上がると、来年はこの会場では周年イベントができないのでは…」と、混雑を心配する声も上がっていた。実際、記者は「まんだらけ」のイベントを何度か訪問・取材しているが、今回の盛り上がりは過去最大級ではないかと感じた。


 ソフビはその造形的な魅力といい、世界に誇る日本の文化遺産と言っていいだろう。コレクターが増加するのは文化遺産を守ることにもつながるため、素晴らしいことだ。その一方で、投機目的で購入する人もいるようで、相場がどう変動していくのか、気になるところである。ソフビブームはどこまで続くのか、引き続き注視していきたい。



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