森田弘昭・日本大教授(本人提供) 埼玉県八潮市の県道交差点で道路が陥没し、トラックが転落した事故で、県の復旧工法検討委員会の森田弘昭委員長(日本大教授・下水道工学)は10日までに、時事通信の取材に応じた。現場の下水道管は損傷が大きいとみられることから、復旧には「最低2〜3年かかる」との見方を示した。
森田氏は陥没の原因について、下水から生じた硫化水素が硫酸に変わって下水道管を浸食した可能性や、通行する自動車の重みや地震で管のつなぎ目がずれた可能性を指摘した。陥没地点の下水道管は、内部に段差があることから下水がかき混ぜられ、「硫化水素が発生しやすい特徴があった」とも話した。
現場の下水道管は1983年に供用が開始され、2021年度の県の独自検査では「直ちに補修が必要な状況ではない」とされていた。森田氏は「長い年月をかけて穴が開く場合が多い。検査から数年で巨大な穴が開いたとは思えない」との見方を示した上で、「復旧方法を検討する上で、どうして壊れたかの原因究明は必要だ」と強調した。
復旧作業については、下水道管の中からトラックの運転席のようなものが見つかっており、「(管が)かなり大きく壊れているとみられる」と指摘。管内部の腐食も進んでいる可能性があり、「全体的な管の交換が必要な場合、最低2〜3年はかかる」と話した。