首都圏を中心に相次いだ「闇バイト」絡みの強盗などのうち、横浜市青葉区の住宅で住人男性(当時75歳)が暴行を加えられ死亡した事件で、実行役とみられる男性2人が強盗殺人容疑などで神奈川県警に再逮捕された。既に強盗致死罪などで起訴されている別の男性を含め、3人とされる実行役の全員が逮捕されたことになる。今後の捜査の焦点は背後にいる指示役に絞られており、キーワードとなっているのが「グラードン」だ。
事件は2024年10月15日ごろに発生。翌16日午前10時35分ごろ、近隣住民の通報で駆けつけた警察官が住宅内で倒れている後藤寛治さん(75)を発見した。後藤さんは粘着テープで手足を縛られ、体の広範囲に多数の傷があった。司法解剖の結果、死因は全身打撲による出血死。住宅内は荒らされ、現金約17万円や貴金属などが奪われていた。
県警は室内で見つかった複数の土足の跡や防犯カメラの映像などから実行役は3人とみて捜査。発覚から3日後、実行役の一人として千葉県印西市の塗装工、宝田真月被告(23)を逮捕し、横浜地検が強盗致死罪などで起訴した。
そして今月6日。県警は別の強盗致傷事件で千葉県で勾留されていた愛知県春日井市の通信回線営業員、藤井柊(27)と住所不定、無職の久保田陸斗(22)の両被告=強盗致傷罪などで起訴=を強盗殺人容疑などで再逮捕し、10日に発表した。
「実行役の逮捕で終わるつもりはない」。ある県警幹部はそう力を込める。宝田被告は事件当時、秘匿性の高い通信アプリで指示役からの連絡を受けていた。ほとんど面識のなかった実行役とされる3人。藤井と久保田両容疑者も通信アプリで指示役からの指示を受けていたという。
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宝田被告が指示を受けていたのが「グラードン」と名乗る人物だ。宝田被告は事件現場から車で逃走後、藤井と久保田両容疑者を新横浜駅で降ろし、東京都足立区に向かう。現金5万円を報酬として抜き取り、残りの11万8000円を同区の公園のトイレに置いたという。
その約1分後、現金を回収したとされるのが、組織犯罪処罰法違反と盗品等運搬罪に問われた無職、木本未穂被告(30)=東京都足立区=だ。木本被告も通信アプリで指示を受けており、その指示役も「グラードン」と名乗っていたという。
神奈川や千葉など4都県警の合同捜査本部は、一連の事件で逮捕した容疑者のスマートフォンを警視庁の「捜査支援分析センター」を中心に解析を進めている。別の神奈川県警幹部はこう強調した。「上位容疑者を検挙しなければ、本質的な解決とは言えない。犯罪グループの姿は浮かびつつある」【柿崎誠、横見知佳、宮本麻由、矢野大輝】
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