国に2380万円賠償命令=「松橋事件」国賠訴訟―熊本地裁

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2025年03月14日 19:02  時事通信社

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時事通信社

松橋事件国賠訴訟の判決後、「一部勝訴」と書かれた垂れ幕を掲げる弁護士=14日午後、熊本地裁前
 熊本県宇城市(旧松橋町)で1985年、男性が刺殺された「松橋事件」で、殺人罪などで服役後、再審無罪が確定した宮田浩喜さん(2020年に死去)の遺族が、捜査などに違法性があったとして国と県に約8480万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が14日、熊本地裁であった。品川英基裁判長は、捜査の違法性は認めなかった一方、公判で検察官に注意義務違反があったとして、国に約2380万円の支払いを命じた。

 判決で品川裁判長は、捜査段階で宮田さんが「凶器の小刀に巻き付け、犯行後に燃やした」と供述していた布片が、実際には残っていたことが起訴後明らかになったと指摘。検察官は公判の被告人質問などで布片が残っていることを明らかにする注意義務があったのに怠っており、違法だと判断した。

 一方、県警の取り調べについては、暴力やどう喝などがうかがわれないことなどから「社会通念上相当と認められる方法を逸脱したとは認め難い」とした。

 訴訟は宮田さんが20年9月に起こしていたが、亡くなったため遺族が引き継いでいた。

 判決後、記者会見した遺族側弁護団共同代表の斉藤誠弁護士は「えん罪の発生を防ぐ役割を裁判所に期待したが、不十分だ」と話した。

 熊本地検の話 判決内容を検討し、関係機関および上級庁と協議した上で適切に対応したい。 
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