稲垣隆史さんが死去 俳優の稲垣隆史さんが12日、午後4時30分に肺炎のため東京都町田市内の病院で亡くなった。87歳。所属する劇団民藝が27日、公式サイトで発表した。
同劇団は「劇団民藝演技部の俳優、稲垣隆史(いながき・たかし、本名)、2025年3月12日(水)午後4時30分に肺炎のため東京都町田市内の病院で逝去しました。87歳でした」と発表。「葬儀は3月21日(金)に家族葬にて執り行われました。喪主は娘の赤堀桂也子(あかほり・かやこ)さん。お問い合わせ先は劇団民藝へお願い致します。ここに謹んでお知らせ致します」と伝えた。
なお、同劇団によると「お別れの会などを行う予定はございません」としている。
稲垣さんは、1937年5月11日、群馬県出身。群馬県立渋川高校を卒業後、俳優座養成所(8期)を経て、59年に劇団民藝の研究生となり、64年に劇団員となる。初舞台は60年『檻』赤チン。
主な舞台は、アルブーゾフ作『イルクーツク物語』ラプチェンコ、ミラー作『セールスマンの死』ハッピー、三好十郎作『炎の人』ロートレック、アンネ・フランク原作『アンネの日記』デュッセル、ブレヒト作『第二次大戦のシュベイク』ヒトラー、ゴーリキー作『どん底』役者、村山知義作『終末の刻』山田右衛門作、スタインベック原作『怒りのぶどう』語り手、岡本綺堂作『俳諧師』路通、木下順二作『巨匠』ピアニストなどがある。高校時代にはピアノを豊増昇に師事、『巨匠』(91、97、2004)では劇中でその腕前を披露した。
近年の舞台では小幡欣治作『神戸北ホテル』小鹿啓四郎(09・10)、小幡欣治作『どろんどろん −裏版「四谷怪談」』尾上菊五郎(10〜13)、坂手洋二作『帰還』桐本義光(11)、デイヴィッド・ベリー作『八月の鯨』ジョシュア(13・14)、ブレンダン・ベーハン作『ヒトジチ』モンソワー(15)など。最後の舞台は、佐藤五月作『ペーパームーン』柳井亮祐子(18)。『雑草の様な命』『六三制愚連隊』『邪魔者は殺せ』『ガラスの中の少女』『地図の無い街』など日活映画にも多数出演している。
外部での声の出演(吹き替え)も多く、海外ドラマ『ER緊急救命室』『ホワイトハウス』『ロスト』や映画『007』シリーズ、『タイタニック』『アルマゲドン』『スパイダーマン』『ヒッチコック』など多数。近年では映画『ハンガー・ゲーム』シリーズ(コリオラヌス・スノー大統領)『スター・ウォーズ」シリーズ(パルパティーン最高議長)『007/スカイフォール』(キンケード)『猿の惑星:創世記』(ジョン・ランドン)『ホビット/竜に奪われた王国』(バーリン)『ドラゴン・タトゥーの女』(ヘンリック・ヴァンゲル)など、ゲームの『キングダム ハーツ』シリーズではイェン・シッドの声を担当した。