真夜中のウーバーイーツ配達事情「東京・歌舞伎町&大阪・ミナミ」編【チャリンコ爆走配達日誌】

1

2025年04月17日 07:30  週プレNEWS

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

週プレNEWS

東京・歌舞伎町と大阪・ミナミ、東西を代表する繁華街の深夜の配達事情を紹介します

連載【ギグワーカーライター兼ウーバーイーツ組合委員長のチャリンコ爆走配達日誌】第96回

ウーバーイーツの日本上陸直後から配達員としても活動するライター・渡辺雅史が、チャリンコを漕ぎまくって足で稼いだ、配達にまつわるリアルな体験談を綴ります!

* * *

先日、ウーバーイーツ配達員の間で「マグロ」「クジラ」と呼ばれる、普段の配達料に比べて5倍から10倍もらえる配達依頼を狙って、深夜の歌舞伎町で配達を行ないました。その時の模様は「『マグロ』や『クジラ』は釣れる? 深夜の歌舞伎町でウーバーイーツ配達チャレンジ」に記しましたが、配達の報酬金額が記事のメインだったため、実際にどのような店のものをどこへ運んだかについては触れませんでした。

ですが、深夜の歌舞伎町の配達は、金額だけでなく受け取りに行く店も個性的なものが多く、配達していて楽しいものでした。

また、私が執行委員長をしているウーバーイーツ配達員の組合(現在、正式な組合として認めてもらうよう、会社側と中央労働委員会にて争議中)には、大阪のミナミと呼ばれるエリアで深夜専門にやっている配達員もいて、歌舞伎町とはまた異なる、深夜の街ならではの配達事情を知っています。

そこで今回は、東京の歌舞伎町と大阪のミナミの深夜(夜11時以降)の配達事情について紹介します。

東京都内の場合、深夜の配達は牛丼チェーン店、コンビニ、マクドナルドの深夜営業店舗、カラオケ店が行なっているゴーストレストラン。あとは深夜1時ぐらいまでCoCo壱番屋の配達依頼が来る、というのが定番です。

歌舞伎町の場合もこれらの配達依頼はあるのですが、カラオケ店のゴーストレストランはあまり多くない印象です。また、以前「ウーバーイーツ配達で行った深夜の店で飛び交うキャスト同士の深い会話」で紹介した、麻布十番や六本木などでよくあるサパークラブのゴーストレストランの配達も多くはありません。おそらく、カラオケ店、サパークラブとも、他のエリアより忙しく、ゴーストレストランをやる余裕がない、もしくはゴーストレストランというシステムを嫌う注文者が多くて商売として成り立たないのでしょう。

代わりに増えているのは、ホストクラブなどが立ち並ぶ歌舞伎町の中心エリアにある、深夜営業のラーメン店、お茶漬け店、雑炊店。どの店もサパークラブと違い、アフターでこられている感じの方は少ないのですが、深夜2時あたりから仕事でお酒を飲みまくった後、締めでラーメンやお茶漬けを味わう方、泥酔状態で体に優しい雑炊を食べる方などで座席が埋まっています。

歌舞伎町の北側のエリア、大久保公園あたりにいると舞い込んでくることが多いのは、新大久保の韓国料理屋からの依頼。こちらは深夜でも店内が賑わっているケースは少ないですが、店へ料理を受け取りに行くと、カウンターに配達する料理がズラリと並んでいます。

配達先は、歌舞伎町やその界隈で働く人が多く住んでいるエリアではなく、中野、高円寺、早稲田駅からちょっと離れた、都心に近い割に家賃の相場が少し安い、若い独身男性や学生の方が多く住まわれているエリア。置き配なのでどんな方が注文されているかはわかりませんが、単身の方が住むような1フロアに部屋がたくさんあるマンションやアパートに届けることが多いです。

おそらく、学生などの若い方が夜中にお腹が空いて、コンビニまでも微妙に距離があって面倒なのでウーバーイーツの注文用アプリを開き、コンビニやチェーン店で頼むのも味気ないので、歌舞伎町のゴーストレストランではない店を選んでいるのでしょう。注文は朝4時過ぎまで入り続け、5時過ぎに少し落ち着くものの、6時前からは朝食の注文がたくさん入る、という感じです。

一方、大阪のミナミの配達員によると、注文が多いのは深夜まで営業しているラーメン店、韓国料理店、うどん屋、雑炊店、たこ焼き屋。歌舞伎町同様、夜の店で働く人が仕事終わりで立ち寄る店からの配達が多いとのこと。

運ぶ先は、近所のタワーマンションが中心。大阪は最近、ミナミの繁華街を囲むようにタワーマンションが建てられ、たくさんの人が住む住宅エリアとなっています。歌舞伎町の場合は配達先まで5km以上のことがよくありますが、ミナミの場合は1km以内のタワーマンションという案件がかなり多いそうです。

また、ミナミの中には日本橋という東京の秋葉原のような店が立ち並ぶエリアもあるので、コンセプトカフェに料理を運ぶというケースも。以前「ウーバーイーツの配達先でインパクトのあった場所は?」で秋葉原の店へ運んだエピソードを書きましたが、ミナミでもお姫様や使い魔たちがたくさんいる店にたこ焼きを運ぶことがあるそうです。

ここ最近、配達依頼が急増しているのはグリコの巨大看板がある戎橋のゼッテリア。絶品バーガーを気軽に楽しめる店、というコンセプトで、現在、ロッテリアの一部店舗をリブランドしたハンバーガーショップ。

少し贅沢なハンバーガーが深夜でも味わえることもあり、2024年11月のリニューアルオープン以来、深夜の配達依頼がものすごく増えているそうです(深夜はウーバーなどフードデリバリーのみの営業です)。また、グリコの看板のすぐ近くにあるので、深夜の配達員の中には「フードデリバリーの『グリ下』」と呼んでいる方もいるとか。

そんな情報を聞いて、実際にミナミで平日の夜11時から配達をやってみました。近距離の配達が多く、自転車でも1時間に5、6件運ぶことができました。フードデリバリーのグリ下ことゼッテリアの配達も4件ほどありました。ただ、深夜2時を過ぎると依頼がパタリと止まり、その後は依頼が30分に1回入るかどうかといった程度に。5時まで粘ってみましたが、2時から5時は1200円ほどしか稼げませんでした。

配達自体は20件ほどやったのですが、近い距離が多かったので歌舞伎町と比べると金額は安め。ただ、数をこなすことができたので稼ぎはおよそ8000円。歌舞伎町ほどではなかったものの、普段配達している東京の銀座・日本橋の深夜に比べて稼ぐことができました。

配達後、大阪の配達員の方に聞いたところ「大阪はクレジットカードより現金払いの人が多いので、配達員用アプリの『現金払い配達を受け付ける』をONにした方が稼げますよ」とのこと。現金払いを受け付けたら、歌舞伎町よりも稼げたかもしれません。

文/渡辺雅史 イラスト/土屋俊明

このニュースに関するつぶやき

  • 間違い。ミナミで生まれ育った人間から言っておく。日本橋=ニッポンバシはミナミではない。その外れや。本来ミナミは旧島之内付近の狭いエリア。なので難波や千日前も厳密にはミナミではない。
    • イイネ!0
    • コメント 1件

つぶやき一覧へ(1件)

前日のランキングへ

ニュース設定