交渉カードの見極め加速=包括合意へ障壁見直し検討―政府

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2025年04月18日 08:02  時事通信社

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時事通信社

記者団の質問に答える赤沢亮正経済再生担当相=16日、米ワシントン
 【ワシントン時事】トランプ関税を巡る初の日米協議は、早期の「包括的合意」を目指すことで一致した。交渉に臨んだ赤沢亮正経済再生担当相は、米側の要求について明言を避けたが、繰り返し批判を浴びる日本の非関税障壁が焦点となる可能性は高い。月内の再協議に向け、日本政府は交渉カードの見極めを加速させる考えだ。

 「可能な限り早期に合意し、首脳間で発表できるよう目指す」。赤沢氏は16日の記者会見で強調した。急きょ設定されたトランプ大統領との会談もこなしたが、「大統領がこれをやるのだと強くおっしゃったことは全くない」と明かした。

 日本にとって今回の協議の目的の一つは、米側の要求の範囲を把握することだった。同行筋は「(米側が)何を考えているのか理解が深まった」と話しており、一定の収穫はあったもようだ。

 米国はこれまで、コメに対する日本の高関税や輸入制度の複雑な規制、自動車の安全基準などが米国製品の市場アクセスを阻んでいると批判してきた。日本側にはこうした障壁の見直しが交渉材料になるとの見方が強い。

 財務省は今月、一定量のコメを無税で輸入する「ミニマムアクセス(最低輸入量)」制度を見直し、主食用米の輸入枠拡充を提言した。直接的には価格高騰が続くコメの安定供給が狙いだが、米国からの輸入拡大に道を開くことにもつながる。

 トランプ氏は米アラスカ州の液化天然ガス(LNG)開発事業を日米共同で進めることに意欲を示しており、LNGの輸入拡大も選択肢の一つだ。

 ただ、農産物の市場開放には反発が強く、第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミストは「LNGの輸入拡大などエネルギー分野は進展しやすいが、農産物の非関税障壁は容易に崩せるものではない」と指摘する。また、トランプ米政権との交渉には不確定要素がついて回る。「カードの『切り損』だけは気を付けなければならない」(日本政府関係者)との警戒感もくすぶっている。 

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