
「この4月だけで150人近くの新入社員の方が当社の退職代行を利用して、会社を辞めています」
と話すのは退職代行『モームリ』を運営する『株式会社アルバトロス』の代表取締役、谷本慎二さん。『モームリ』は従業員本人に代わって退職の意思を勤務先に通知するサービスで近年、利用者が増えているというが、会社に入ったばかりの新人から依頼が殺到している理由とは?
若者が早期退職しやすい原因
「入社式で社長からかなり圧のあることを言われた、研修でひどいことを言われ嫌な思いをしたケースがあります。給与が入社前に言われていたものと違ったり、配属先が聞いていたところと違ったという場合も」(谷本さん、以下同)
若者が早期退職しやすい原因は、時代背景にあるという。
「人が変わったというよりは、時代が変わったのだと思います。転職はボタン一つで応募ができる時代。退職もLINEだけでできる場合もあるので、企業側に魅力がないと人材が残ってくれなくなっています」
|
|
4月は過去最高の依頼者数になる見込みということだが、
「メディア取材やSNSの普及に伴って退職代行の認知が広まったことが大きいです。今までだと無断で辞めていた方や苦しみながら我慢していた方が、退職代行を使えばすぐに辞められるとわかったのではと思います。ご依頼の理由は2:6:2に分けられ、2割は完全なブラック企業によるもの、6割はお互い言い分があるようなすれ違いのあるケース、残り2割は依頼者様の自己都合となります。女性だと医療関係の方とセクハラが理由の方が多いですね」
“犯罪レベル”の理由も
依頼者から驚くべき会社の実態が明かされることも多い。
「暴力系は結構ありますね。殴る、蹴る、肩パン大会があるなど……。掃除で使った手袋で患者さんの口内を触るよう指示され、排水口掃除のブラシと入れ歯を洗うブラシが同じだったというのも印象的でした。女性の看護師の方だと院長に後ろから抱きつかれた、性的なことを言われたということもあります」
他にも包丁を投げられる、顔がパンパンになるまで殴られたなど犯罪レベルもあるという。
|
|
「まずは警察に行ったほうがいいんじゃないかという話も出るのですが、依頼される方々は精神が疲弊されていて、訴えるよりも“とにかく離れたい”“警察に言うと逆恨みが怖い”となって退職代行を利用されます」
谷本さんの話を聞いていると退職代行は労働者の“最後の砦”となっているようだ。
「安易に利用するのは私自身も良くないと思っています。ただ、退職代行のサービスが普及することによって、本当に苦しんでいる方々を救うことになっているのかもしれません」
『モームリ』では転職活動のサポートも行っている。
「月に500人ぐらいの方がサポートを受けています。大手企業から紹介してほしいというお問い合わせをいただくこともあります」
|
|
退職代行の利用料は正社員だと税込み2万2000円、アルバイトは税込み1万2000円と手の届かない値段ではない。もう無理!となったら、最終手段として利用するのもあり!?