自民党派閥裏金事件に関する審査が行われた参院政治倫理審査会=18日午後、国会内 自民党の派閥裏金事件を受けた参院政治倫理審査会は18日、旧安倍派の山崎正昭元参院議長から弁明を聴取した。これにより、衆参両院で申し出のあった議員52人の審査が終了。政治資金パーティー券の販売ノルマ超過分の還流が再開された経緯などで、真相解明につながる証言は得られなかった。
旧安倍派を巡っては、会長だった安倍晋三元首相が2022年4月に還流廃止を決めながら、その死去後に再開された経緯などが焦点だった。
山崎氏は「いつから還付(還流)が始まり、その再開がいつ、どのように決まったかなどの事情は承知していない」と説明。「安倍氏からこの問題で相談を受けたことはない」とも述べた。
衆院政倫審では24年2月から、当時の岸田文雄首相や、旧安倍派元幹部の西村康稔元経済産業相、萩生田光一元政調会長ら22人が出席。参院政倫審でも同年3月から、世耕弘成前参院幹事長(現衆院議員、自民離党)ら30人が出席した。
弁明に臨んだ旧安倍派議員はいずれも、還流再開について「全く知らなかった」(柴山昌彦元文部科学相)などとの発言に終始。政治資金収支報告書の不記載が始まった時期も、元幹部の間で証言が食い違った。
今夏に参院選を控え、自民は裏金事件に関与した議員の政倫審出席で幕引きを狙っていた。しかし、18日の参院政倫審の終了後、与党筆頭幹事を務める自民の佐藤正久氏は記者団に「経緯は解明されていない」と認めざるを得なかった。
野党は、引き続き「政治とカネ」の問題を追及する構えだ。21日に世耕氏が参院予算委員会に参考人として出席。還流再開を協議した22年8月の旧安倍派の幹部会合に参加した下村博文元政調会長の招致も求めていく。

参院政治倫理審査会で挙手する自民党の山崎正昭元参院議長=18日午後、国会内