会社やSNSで見かける「なぜか突っかかってくる人」の共通点。「存在しない敵」と戦ってしまうワケ

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2025年06月22日 16:00  日刊SPA!

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※画像はイメージです
―[貧困東大生・布施川天馬]―
SNSでたまに見かける「なぜか突っかかってくる人」たち。

日々嫌なことに囲まれて生きているのか、それとも単に常識がないだけなのかと心配になりますが、もしかしたら「読解力」の無さが争いを引き起こしているのかもしれません。

文字が読めても、意味が分かっていない。先入観が邪魔をして、書いていないことを読んでしまう。

SNSで暴れている人は、何について話しているか、何が問題なのか、全くわかっていません。

日本語を解することと、文章が読めること、文脈を汲めることは全く別の能力です。文字が読めても、意味が分からなければ、まともな会話になるはずがない。

“血の気が多いあの人”に本当に必要なのは、穏やかな心ではなく、読解力です。今回は読解力をつけるための精読トレーニングをお伝えします。

◆「書いてないこと」を読む人

「社会には、無駄な会議や無意味な飲み会が多い」と20代で東大卒の私が言ったら、みなさんはどう思いますか?

もし少しでもイラっとしたなら、あなたは「書いていないこと」を読んでいるのかもしれません。文脈を汲み取ろうとして、余計な意味までくみ取っているのかも。

読解力がない人が喧嘩っ早いのは「書いていないことを読んでしまう」から。彼らは書いていないことを思い込みで「ある」と勘違いし、勝手にいらだってしまう。文脈を勝手に作ってしまうから、厄介なのです。

そもそも文脈とは、「ちりばめられた情報と、そこから推理できる情報から推察される総合的な状況」のこと。「文脈を読む」ためには、まず情報を正しく収集し、次にそこから飛躍のない範囲で推察できる情報を考え、それらを統合する必要があります。

そして、一番難しいのが「文章から情報を集める」こと。この段階では、それぞれの単語を辞書的な意味で回収する必要があります。あくまで先入観をゼロにして、フラットな視点を心掛けなくてはいけません。

◆精読すれば本当の意味が分かる

先ほどの「社会には、無駄な会議や無意味な飲み会が多い」にイラっとした方は、私の出自の情報を総合して考えてしまったのではないでしょうか?

まだまだ20代の、生意気な若造が「無駄な会議や無意味な飲み会」を指摘するとなれば、確かに偉そうに見られても仕方がないのかも。

ですが、ちょっと待ってください。本当に私は「生意気で、偉そうで、社会人になりたての分際で大仰なことをのたまう身の程知らず」なのでしょうか。

私はあくまで「社会には、無駄な会議や無意味な飲み会が多い」と指摘しただけ。一度、発言者や状況などを撤去して、文章だけで考えてみましょう。これを「精読」といいます。

社会とは、「人間が集まって形成する集団及びその営み」のこと。会議とは「話し合いの場」のことで、飲み会とは「主にお酒を酌み交わしながら会話や交流を楽しむための会合」で、無駄や無意味とは「役に立たないこと」を指します。

すると、私が睨まれる筋合いが消えたと思いませんか?

◆読解力がない人はどう捉えてしまうのか

みなさんはきっと、「最近の若者は会議や飲み会が嫌い」とか「Z世代はコスパ重視で、仕事とプライベートを完全に割り切りたがる」といった、外部の情報を念頭に入れながら先ほどの文章を読んでしまったのでは。

発言者とか立場とか、そういった情報を添加して考えるより前に、まずは文章の意味をそのままで理解しなくては、正確な理解は不可能です。文章だけで意味が正確にキャッチできたら、ようやく「言外の意味」を考えます。

私は、様々なネット上の言い争いなどを見てきましたが、人を怒らせる一番のきっかけは「自分の読解力の欠如」です。いつも何かに怒っている人は、自分の中の存在しない敵と戦い続けている。

文章が読めない人は、文章ではなく、目の前の幻を読んでいます。ですから、この文章で紹介した「精読トレーニング」も、きっと伝わらないでしょう。

読めていない人は「自分は大丈夫」と考えているからです。そういえば、学生時代を思い返すと、成績が悪い人に限って、テストの前日になっても「俺は大丈夫」と平気な顔をしていました。

もし周りの方で、いつもイライラして雰囲気を悪くしている人がいたら、文脈に囚われず、辞書的な意味だけを拾って読む練習を勧めてみてください。

文章さえ読めるようになってくれたなら、周囲の空気が少し澄んだものになるかもしれません。

<文/布施川天馬>

―[貧困東大生・布施川天馬]―

【布施川天馬】
1997年生まれ。世帯年収300万円台の家庭に生まれながらも、効率的な勉強法を自ら編み出し、東大合格を果たす。著書に最小限のコストで最大の成果を出すためのノウハウを体系化した著書『東大式節約勉強法』、膨大な範囲と量の受験勉強をする中で気がついた「コスパを極限まで高める時間の使い方」を解説した『東大式時間術』がある。株式会社カルペ・ディエムにて、講師として、お金と時間をかけない「省エネ」スタイルの勉強法を学生たちに伝えている。(Xアカウント:@Temma_Fusegawa)

このニュースに関するつぶやき

  • ”見えない敵”と戦う?ヤク中じゃなくて?血ィ抜いたら落ち着かないですかね。(※中世のスタンダードで危険な治療法、瀉血 血の澱のせいだと考えられえた)
    • イイネ!3
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