打ち上げを待つH2Aロケット50号機=28日、鹿児島県南種子町 気象観測や測位、通信など日々の暮らしに役立つ実用衛星から、国際宇宙ステーション(ISS)に物資を届ける補給船、宇宙や生命の謎を解き明かす探査機まで。H2Aと強化型のH2Bの両ロケットは多種多様な衛星を宇宙まで届けた。
H2Aでは、気象衛星「ひまわり」を計4基打ち上げた。先代のH2ロケットが1999年、後継機の打ち上げに失敗。日本の気象衛星が一時不在となっていたことから、2005年にH2Aとして最初となるひまわり6号が無事軌道に投入されると、気象庁関係者は喜びに沸いた。
日本版の全地球測位システム(GPS)を実現する「みちびき」も10〜21年に計5基を投入。17年には2カ月おきに3基続けて打ち上げた。
07年の13号機から三菱重工業に打ち上げ業務が移管されると、海外からも受注。韓国の観測衛星やアラブ首長国連邦(UAE)の探査機、カナダ企業の通信衛星などを打ち上げ、後継ロケットのH3の商業受注にも道筋を付けた。
探査機や天文衛星が大型化する中、月周回衛星「かぐや」や、小惑星「りゅうぐう」から砂などを持ち帰った「はやぶさ2」も軌道に届けた。「SLIM」による日本初の月面軟着陸の一翼を担った。
輸送能力を引き上げたH2Bは、物資補給機「こうのとり」(HTV)を9機連続でISSに届けた。15年のISS滞在中にこうのとりを迎えた宇宙飛行士の油井亀美也さん(55)は、「長い間活躍してくれた素晴らしいロケット。私たちが宇宙に行けるのは、(H2Bが)ISSに貢献した対価としてなので、その技術力には本当に感謝している」と語った。