衆院予算委員会で、答弁する高市早苗首相=10日午後、国会内 衆院予算委員会は10日、高市早苗首相と全閣僚が出席し、2日目の基本的質疑を行った。首相は台湾有事を巡り、自衛隊が集団的自衛権を行使できる「存立危機事態」に該当し得るとした自身の答弁について、「政府の従来の見解に沿ったもので取り消すつもりはない」と語った。立憲民主党の大串博志氏に答えた。
歴代首相は、中国が台湾を「核心的利益の中の核心」と位置付けていることを踏まえ、存立危機に該当するか明言を避けてきた。大串氏は撤回を促したが、首相は「最悪のケースを想定して答弁した。実際に発生した事態の個別具体的な状況に即し総合的に判断する」と説明した。
衆院の定数削減を争点にした衆院解散・総選挙に関しては「考えにくい」と述べた。日本維新の会の藤田文武共同代表は解散に言及したが、首相は定数削減の議員立法を争点にするのはなじまないとの認識を示した。立民の今井雅人氏への答弁。
今井氏は、首相が自民党総裁選で主張した通り、島根県で開かれる来年2月の「竹島の日」式典に閣僚を派遣するか尋ねた。首相は「適切に対応していきたい」と明言を避けた。
首相は財政健全化の指標となる国・地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス)の単年度の黒字化目標見直しについて、経済財政運営と改革の基本方針「骨太の方針」策定に向けて、「(来年)1月段階で指示をする」と表明した。立民の馬淵澄夫代表代行への答弁。
学校法人森友学園を巡る財務省の公文書改ざん問題で、首相は自殺した赤木俊夫さんの妻雅子さんが幹部のメールなどの優先開示を訴えていることに関し、「できる限り対応するよう指示した」と語った。立民の川内博史氏への答弁。
維新の中司宏幹事長は首相の歴史認識をただした。首相は「歴代内閣の立場を全体として引き継いでいく」と強調した。
国民民主党の長友慎治氏は所得税の課税最低ライン「年収の壁」見直しに関し、最低賃金の上昇率に合わせた引き上げを要求。首相は「最低賃金に連動するのは適切ではない」と否定的な考えを示した。