仲代達矢さん 「影武者」「人間の條件」など数々の映画や舞台、テレビドラマに出演した俳優の仲代達矢(なかだい・たつや、本名元久=もとひさ)さんが死去したことが11日、分かった。92歳だった。東京都出身。
1955年、俳優座に入団。舞台「幽霊」に主演し、大型新人として注目された。舞台活動を続けながら56年、「火の鳥」で本格的な映画デビューを果たし、小林正樹監督の「人間の條件」の主役に抜てきされた。
黒澤明監督「用心棒」「椿三十郎」の他、山本薩夫監督「不毛地帯」、市川崑監督「吾輩は猫である」などに出演。主演作では小林監督の「切腹」が63年のカンヌ国際映画祭で審査員特別賞、黒澤監督の「影武者」が80年の同映画祭最高賞を受賞し、日本を代表する俳優として内外の注目を集めた。
テレビでも72年のNHK大河ドラマ「新・平家物語」で主人公の平清盛を演じ、「飢餓海峡」「大地の子」など数々の名作ドラマにも出演した。
75年、妻の宮崎恭子さんと私塾「無名塾」を創設。役所広司さんや若村麻由美さんら多くの俳優を育てながら、「どん底」「リチャード三世」「ドライビング・ミス・デイジー」などの舞台に立ち続けた。
96年紫綬褒章。2007年文化功労者。15年に文化勲章を受章した。

仲代達矢さん