自民党法務部会、司法制度調査会の合同会議を終え、記者団の取材に応じる稲田朋美元政調会長(中央)=7日午後、東京・永田町の同党本部 再審制度の見直しを巡る自民党と法務省の協議は、7日も平行線に終わった。法務省側は検察による不服申し立て(抗告)の「原則禁止」を付則に盛り込む刑事訴訟法改正の再修正案を提示。本則への明記を求める自民側との隔たりは埋まらなかった。
協議は3時間を超えた。出席者によると、再修正案への理解を求める法務省に対し、発言した議員の約9割が抗告禁止を本則に位置付けるよう訴えたという。
協議後、稲田朋美元政調会長は記者団に「(4月の修正案と比べて)法的には全く同じものを(法務省は)出してきた。評価できない」と批判。弁護士資格を持つ党ベテランは「どこかで高市早苗首相に政治決断をしてもらう必要が出てくるかもしれない」との見方を示した。
抗告の是非に注目が集まるのは、被害者救済に長い期間がかかる最大の要因となっているためだ。抗告後、再審開始が確定するまでに袴田事件は約9年、福井中3殺害事件は約13年を要した。
近年の再審では無罪判決が相次ぎ、有識者から「検察が抗告を組織防衛のために利用した」との指摘も出ている。
自民側にとって、本則での抗告禁止を受け入れるかどうかが、法務省側の本気度を測るバロメーターとなりそうだ。党中堅は「付則に原則禁止と書いても、『気を付けて抗告しろ』ということにしかならない」と断じた。
与党が参院で過半数を持たないことも、自民側の姿勢に影響を与えている。党参院ベテランは、野党の追及を受ける可能性に言及。「その時に政権は持つのか」と懸念を示した。
一方、自民内には合意を優先すべきだとの声もある。党若手は「法務省が要求をのまないから、改正案を出さなくていいとはならない。少しでも現状を変えられるならば変えた方がいい」と主張した。
高市政権は、自民内の情勢や世論の動向を慎重に見極めつつ、今国会中の法改正を目指す構えを崩していない。ただ、政権幹部は「自民から造反者を出したり、国会で修正されたりしてはいけない」と指摘。提出見送りに含みを残した。