キャロットケーキが人気急上昇中!「キャロ活」するほどマニアもいる理由

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2024年05月25日 16:00  クックパッドニュース

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【あの食トレンドを深掘り!Vol.52】90年代に流行した「ティラミス」、数年前に話題になった「おにぎらず」、直近では社会現象にもなった「タピオカ」など、日々生まれている食のトレンド。なぜブームになったのか、その理由を考えたことはありますか? 作家・生活史研究家の阿古真理さんに、その裏側を独自の視点で語っていただきました。

キャロットケーキが今人気!

キャロットケーキを食べ歩く、「キャロ活」を楽しむ人が増えている。『クロワッサン・オンライン』(マガジンハウス)2023年6月16日配信記事では、キャロ活の魅力について、キャロットケーキ研究家のurara(うらら)、インスタグラマーのhamhamsweet(ハムハムスイート)が対談。キャロットケーキを毎日食べる2人は、店によって味や形が多様なところが魅力、と話し合う。小麦粉の種類、ニンジンの切り方、油、ドライフルーツやナッツ、表面にかけるフロスティングなど、材料の選び方も店によって異なる。形や大きさも違い、さまざまな個性が楽しめるという。

今は食べ歩けるほど、キャロットケーキを扱う店が多い。基本的に材料を混ぜて焼くだけ、と作り方がシンプルなため、手作りも人気だ。クックパッドの食の検索サービス「たべみる」でも、2019年から「キャロットケーキ」の検索頻度が上昇し、2023年は2019年の約1.5倍も検索されている。

私がキャロットケーキの存在を知ったのは、子ども時代にお菓子作りで使っていた森山サチ子のレシピ本で。1980年に出された改訂版だったので、昭和半ばには紹介されていたと思われる。しかし長らく、スイーツ店に並ぶことはほとんどなく、数少ないイギリスのスイーツを扱う店やイギリス式ティールームなどで見かける程度だった。

ポピュラーになったきっかけは、2011年に東京・丸の内で日本1号店を出したパリ発のオーガニックカフェ「ローズベーカリー」が提供し、人気になったこと。さらにコロナの少し前から盛り上がり始めたアフタヌーンティーを楽しむヌン活の影響もあり、スコーンに続いて流行し始めのだ。

ローズベーカリーがパリ発ということもそうだが、東京では特に、欧米発のスイーツはフランスが優勢でイギリス菓子は地味な存在だった。1990〜2000年代のスイーツブームが、フランス菓子を中心に盛り上がったことも大きい。

それがなぜ今、キャロ活をする人たちが現れるほど人気なのか。念のため、そうしたファンを総称する言葉がないか探してみた。しかし、「キャロラー」は、クリスマスの讃美歌を信者の家を回って歌う教会活動をする人たちを指し、「キャロマニア」は、ゴルフブランドのキャロウェイのファンを指すそうで、決まった言い回しは今のところなさそうだ。

キャロットケーキが人気の3つの要因

人気の要因の一つは、冒頭で紹介した対談にもあったように、レシピによって違う味わいを楽しめる多彩さだろう。ナッツやスパイスが違えば香りや味わいが変わるし、ニンジン、ナッツ、ドライフルーツの刻み方で食感も変わる。工夫された形は目を楽しませてくれる。フロスティングも生クリーム、クリームチーズ、シンプルに粉砂糖など、それぞれ異なる味わいを教えてくれる。

二つ目は、ヘルシーさ。スイーツはカロリーが高く食べる際に罪悪感を伴うことが多いが、ニンジンがたっぷり入ったキャロットケーキは、小麦粉の量が少なめになることもあって、健康に良いと言い訳できる。ニンジンは野菜の中でも糖分が高いし、使われているフロスティングによっては、糖質が多いかもしれないのだが。

三つ目はヌン活の影響だ。特に東京でイギリス菓子の存在が薄かったのは、そもそもティールームが少なかったからだろうが、近年の盛り上がりは「迷走」と言いたくなるほど、各店・ホテルが紅茶ではなくスイーツなどの食べ物推し。当然、そこで出されるお茶菓子は注目される。ヌン活を優雅な社交空間と捉える人もいるだろうが、そこでイギリスのスイーツや食文化に関心が向く人もいるはずだ。

その影響か、近年は百貨店が開催する英国展も大人気で、順番待ちになり会場になかなか入れてもらえない、中は大混雑という場合もある。スコーンが大流行しているので、スコーン目当ての人も多いが、キャロットケーキも人気である。

フランスの生ケーキは、いくつもの層を重ねて複雑な味わいにしたものが多く、プロならではの技が詰め込まれている分、価格も高い。味わいは素晴らしいが、テイクアウト中心なので運ぶのに気を使うし、懐具合もカロリーも気になる人がいるだろう。しかし、イギリス菓子は基本的に家庭料理として作られてきたものが中心で、味も調理法もシンプルで財布にも優しい傾向がある。

また、最初は今はなくなったディズニーチャンネルで、最近はNHKで放送されているイギリスの国民的人気番組『ブリティッシュ・ベイクオフ』から、イギリス菓子の世界に関心を深めた人もいるのではないか。ヌン活およびイギリス菓子文化への関心も、キャロットケーキの人気も高めていると思われる。 また、キャロットケーキは韓国でも流行しており、韓流ファンが注目している側面もあるだろう。

キャロットケーキは、イギリスで中世から食べられていたキャロット・プディングが原型と言われている。『イギリスお菓子百科』(安田真理子、ソーテック社)によると、18、19世紀のレシピ本で、ひんぱんに紹介されるようになる。この時期、イギリスでは主婦層が誕生して家庭料理が著しく進化した。オーブンが普及したこともあり、現在に続く家庭料理としてのスイーツ作りも活発になったのだ。

その後、第二次世界大戦の砂糖不足で政府が奨励したことから流行し、1960〜1970年代にはアメリカで流行し、アメリカ流のクリームチーズのフロスティングが、イギリスでもスタンダードになった。 そんな歴史も味わいつつ、キャロットケーキを楽しんではいかがだろう?

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