前回からの続き。私はカズミ。実家で母との2人暮らしをしています。妹のアイは近くでひとり暮らし、弟のユウキは都会で結婚しています。ユウキの嫁は気取った感じで見下してくるし、娘が産まれて得意げにしているのも気に入りません。そんななか私は既婚者のトモヒコとの間に赤ちゃんを授かりました。男の子が2人いるトモヒコは、本当は女の子が欲しかったそうです。女の子が生まれれば離婚して私と家庭を築いてくれるはず……! 私は明るい未来を夢見ていました。
ひとりで抱えきれなくなった私は、母にすべてを打ち明けたのです。しかし母はみるみるうちに青ざめていき、「自分が何をしたかわかってるの!?」と激怒。事情を受け入れてくれるどころか、家を出て行くよう言い渡されてしまいました。
私は捨てられてしまったのです。もう頼るあてがありません。あんなに嬉しかった出産は、私から全てを奪っていきました。ポロポロと涙を流しつづけていると、母が声をかけてきました。「これが現実よ。自分でしたことの責任は自分でとりなさい」
念願だった出産の日を迎えた私。しかし望んでいた女の子でなく、男の子が生まれてきました。結局トモヒコには捨てられ、ユウキに連絡を断たれ、母には出て行くよう言い渡され……。自分の愚行に気づいた頃にはなにもかも遅すぎたのです。それから数ヶ月後。私はアパートを探し、カナタとともに実家を出ました。
気が動転していたとはいえ、生まれてきてくれたカナタを「いらない」だなんて、どうかしていました。私は母親として精いっぱいの愛情を注いでいかなければいけません。これから一生かけて償っていきたいと思います。
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