《西田敏行さん“ハマり役”ベスト5》1位&2位は昭和と平成を代表する“笑えてホロリ”の役どころ

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2024年11月17日 17:00  週刊女性PRIME

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西田敏行さん

 10月17日、虚血性心疾患のため自宅で急逝した俳優の西田敏行さん。葬儀には、50年来の俳優仲間「五人会」のメンバーである柴俊夫、松崎しげる、田中健のほか、俳優の岸部一徳、大泉洋らが参列。最後の別れを惜しんだ。

 温かな人柄で、ファンはもちろん、共演者、スタッフなど多くの人に愛された西田さん。テレビ朝日系の『ドクターX』シリーズでは、米倉涼子演じる主人公・大門未知子と対立する、大学病院の院長・蛭間重勝を長年にわたり演じた。12月公開予定の、同作の劇場版が遺作となる。

 コミカルな役からシリアスな役まで幅広い役柄を演じ、名実共に日本を代表する俳優として最後まで存在感を発揮し続けた。今回はそんな西田さんを惜しみ、緊急の読者アンケートを実施。30代〜70代の男女500人に「最も好きな西田さんのハマり役」を聞いてみた。

出演した大河ドラマで唯一ランクイン

 第5位は、NHK大河ドラマ『おんな太閤記』(1981年)で演じた豊臣秀吉。

「いろんな人が秀吉を演じたが、人となりがいちばん合っていた」(佐賀県・62歳・男性)と、陽気で朗らかな秀吉の人物像と、西田さんのイメージを重ねる人が多かった。

「佐久間良子さん演じる主人公の“ねね”を、『おかか』と優しく呼ぶ西田さんの姿が印象的でした。この『おかか』は、この年の流行語になるほど話題になりました」

 と、テレビウォッチャーで漫画家のカトリーヌあやこさん。

 生前、西田さんはNHK大河ドラマだけで12作に出演。このうち主役を務めたのは3作で、大河シリーズでの最多記録となる。徳川家の吉宗、家康、秀忠のほか、西郷隆盛、後白河法皇など歴史上の人物を数多く演じた。

「この作品は橋田壽賀子さん原作。戦国時代を舞台としながら、合戦よりも家庭内の場面が多い大河ドラマでもありました。おちゃめな演技、迫力ある悪の演技と、西田さんの魅力が存分に発揮された作品だったと思います」(カトリーヌあやこさん、以下同)

 第4位は『ドクターX〜外科医・大門未知子〜』シリーズ(テレビ朝日系・2012〜2024年)の蛭間重勝役。

「嫌なやつなのに、ユーモアがあってどこか憎めない。西田さんじゃなかったらつまらない蛭間になっていたと思う」(神奈川県・48歳・女性)など、西田さんならではの個性的なキャラクターに称賛の声が寄せられた。

「スタッフが『西田さんのアドリブが面白すぎて困る』と言っていたとか。もったいないけど、尺を考えると出演シーンを切らざるを得ない。編集泣かせですよね(笑)」

 10月8日に開かれた同ドラマの劇場版完成報告会見で、西田さんは「蛭間重勝は好きな役のベスト5に入る。終わるのが嫌だなと感じる」と、感極まったように声を震わせながら語っていた。

「共演者の遠藤憲一さんは、西田さんのアドリブのおかげで自分自身すら気づかなかった個性を引き出せてもらった、と語っていたんです。自分だけでなく、共演者の引き出しまで増やしてしまう西田さんのアドリブ力、本当に見事だなと改めて感じました」

大河ドラマの裏番組でも平均視聴率19・5%

 第3位にランクインしたのは、『西遊記』シリーズ(日本テレビ系・1978〜1980年)の猪八戒役。悟空を演じた堺正章、沙悟浄役の岸部シローさん、三蔵法師役の夏目雅子さんとの4人のチームワークが見事で、国民的ドラマとして大ヒット。西田さんを一躍スターにした出世作といえる。

「個性が際立っていた」(北海道・48歳・女性)

「西田さんの愛くるしさが役に投影されていた」(奈良県・52歳・男性)など、子どものころに夢中で見ていたという40〜50代から多くの声が寄せられた。

「青年座に所属して舞台を中心に活動していた西田さんが、この作品がきっかけでお茶の間で広く知られるようになりました。共演者たちの仲の良さでも知られていましたね」

 西田さんの訃報後、堺は「猪八戒、沙悟浄、三蔵法師も、みんな天竺へ旅立ちました。私もいずれその旅に参加します」と追悼のコメントを寄せた。

「撮影の休憩時間に、どうしたら夏目さんと2人きりになれるか、3人の男性陣が躍起になっていたという逸話を、堺さんが以前テレビで楽しそうに話していらっしゃいました。とうとう堺さんおひとりになってしまい、なんとも寂しい限りです」

 猪八戒役で一気にブレイクした西田さんが、『西遊記』の次に出演した作品『池中玄太80キロ』シリーズ(日本テレビ系・1980〜1992年)が2位にランクイン。

「玄太の心優しい役柄がご本人とよくマッチしていた」(大阪府・32歳・女性)

「西田さんが玄太そのもので、ドラマでなく現実のようだった」(東京都・68歳・男性)という声のとおり、不器用で愛にあふれた玄太は、西田さんのハマり役だった。

「単純なホームドラマではなく、血のつながらない娘たちを玄太が懸命に育てるという、厚みのある物語でした。好評につきパート3まで制作され、スペシャル版を合わせて約12年もの放送期間に。挿入歌の『もしもピアノが弾けたなら』も大ヒットしましたね」

 “パート2”の挿入歌だった同曲は、50万枚以上の売り上げを記録。西田さんは歌番組に引っ張りだことなり、年末の『紅白歌合戦』に初出場を果たした。

「娘役の一人だった杉田かおるさんは、ドラマ開始時にまだ高校生。当時は反抗期で、西田さんにも迷惑をかけてしまったと追悼のコメントを寄せていらっしゃいました」

 ヒロイン役の坂口良子さん、玄太の上司役の長門裕之さん、同僚のヒデを演じた三浦洋一さんと、主要なキャストの多くが鬼籍に入った。しかし、昭和を代表するドラマとして、今も多くの人々の心に残っていることは間違いない。

堂々1位は平成の人情喜劇シリーズ

 1位となったのは、映画『釣りバカ日誌』シリーズ(1988〜2009年)の“浜ちゃん”こと浜崎伝助。

「ニコニコと釣りをしている西田さんの姿が思い浮かぶ。ご本人の温かい人柄に通じる」(大阪府・35歳・女性)

「三國連太郎さん演じる、社長のスーさんとのやりとりも自然でよかった」(埼玉県・77歳・男性)と、幅広い層から多くの支持が集まった。

「当初は、大人気シリーズの『男はつらいよ』の同時上映作品として製作され、松竹映画もさほど力を入れているわけではなかったようです。それがふたを開けてみれば大変評判がよく、“釣りバカ”のほうも松竹を代表する看板映画になったというわけです」

 スーさんが、実は勤務先の社長とわかった後でもまるで態度を変えないざっくばらんさ、出世欲は一切ないが愛妻家で家族思いなところなど、ユーモラスで人情味あふれる浜ちゃんの役柄が西田さんにぴったりだった。

「見終わったあと、絶対に嫌な気持ちにならない作品なんです。その安心感は、やはり西田さんの持ち味あってこそ。シリーズの監督を務めたこともある本木克英さんは、2行のセリフが西田さんのアドリブで2ページになったこともあると語っていらっしゃいました。まさに、西田さんが役をつくり上げ、育てていたのだと思います」

 たくさんの感動を与えてくれた西田さん。愛すべきキャラクターたちとともに、これからもずっと私たちの心の中に生き続けていく。

カトリーヌあやこ●漫画家&テレビウォッチャー。著書にフィギュアスケートルポ漫画『フィギュアおばかさん』(新書館)など

取材・文/植木淳子

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