ロシアによるウクライナ侵攻などを踏まえ、防衛省が研究を急ぐ小型無人機(ドローン)に対処するレーザー照射装置を搭載した試作車が完成し、来年2月から北海道で野外実証試験を行う計画を進めていることが同省への取材で分かった。レーザー照射による熱でドローンを破壊・撃墜するもので、陸上自衛隊への配備が有力視されている。
国家安全保障戦略に基づく防衛力整備計画(2023〜27年度)は、ドローン対処能力の整備化を明記。試作車は今年10月に完成し、今月9日に石破茂首相が出席して、埼玉県の陸自朝霞訓練場で開催された自衛隊観閲式で初めて公開された。
試作車は陸自の大型車両がベース。ドローンを無力化できる高出力レーザー照射装置や電源、レーダーなどを搭載し目標の探知、追尾を自動で行えるシステムも備える。1キロ以上先のドローンを撃墜できる可能性もある。
実証試験の場所は防衛装備庁の千歳試験場(北海道千歳市)や道内の陸自演習場が検討されており、悪路や厳しい気象条件を含め過酷な環境下での照射効果の検証、安全性の確認などを行う。試作は三菱重工業が担当した。
防衛装備庁によると、研究は21年度から行われ、25年度予算概算要求には能力向上の研究費として34億円を計上。防空の指揮統制や高出力マイクロ波を使ったドローン対処システムとネットワーク化することを目指す。