11月24日(日)、愛知・岐阜県を舞台に開催されている2024年WRC世界ラリー選手権第13戦『フォーラムエイト・ラリージャパン2024』のデイ4が行われ、トヨタ・ガズー・レーシングWRTのエルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(トヨタGRヤリス・ラリー1)が優勝を飾り、ヒョンデ・シェル・モービスWRTのティエリー・ヌービル(ヒョンデi20 Nラリー1)がチャンピオン獲得を果たした。
2024年シーズンに新たに導入された日曜のみの総合順位でポイントを競う“スーパーサンデー”では、ヌービルが最速となり7ポイントを獲得。パワーステージではセバスチャン・オジエ(トヨタGRヤリス・ラリー1)がステージウインを飾り、ボーナスの5ポイントを獲得した。
そして、最終パワーステージまでもつれ込んだマニュファクチャラータイトルは、3ポイント差でトヨタが4連覇を果たした。
デイ4午前には、SS17〜19の3本のステージが行われた。SS17には、オット・タナク(ヒョンデi20 Nラリー1)がステージ最終盤にまさかのクラッシュし、リタイア。これによってヌービルがドライバーズタイトルを獲得し、ヒョンデ同士の一騎打ちは、思わぬ形で幕切れとなった。
大会最終日、午後1本目はSS20『豊田スタジアムSSS3』。デイ1、デイ3に続き3回目となる2.15kmの周回ステージだ。
TGR-WRTのヤリ-マティ・ラトバラ代表からの指示で午前はペースを抑えていた勝田は、SS20からGOサインが出たため攻めの走りを披露し、トップタイムをマーク。ここを得意としているアドリアン・フルモー(フォード・プーマ・ラリー1)は、0.3秒届かずステージ2番手となった。
オジエが3度目にして好タイムを記録するも、ウオーターバリアに接触してタイムロス。インタビューではフラストレーションを隠さなかった。この接触でウオーターバリアが破損し、中の水がコースに漏れ出てしまったため、一時中断。
バリア修復後、アンドレアス・ミケルセン(ヒョンデi20 Nラリー1)がステージ3番手のタイムを記録。エバンスとヌービルは無理をせず確実に走り切った。ここではスーパーサンデーの順位に変動はなく、トヨタとヒョンデがランキング同点のまま、ファイナルステージに進む。
今大会、そして2024年最後のステージとなるSS21『三河湖2ウルフパワーステージ』は、ステージ上位5名にボーナスポイントが与えられる。午前のSS18『三河湖1』では、ヒョンデのヌービルとミケルセンがワン・ツーだったものの、トヨタ勢がリスクを考えて抑えていたため、ステージ順位は予想できない。
スーパーサンデー首位のミケルセンは、中速の左カーブでオーバーラン。路肩の細い木に衝突するも薙ぎ倒してコースに復帰し、右フロントカウルを破損しながらも完走を果たした。
ヌービルは、早い出走巡を生かして猛プッシュし、このパワーステージで好タイムを記録。フィニッシュ後には、ドライバーズタイトル初獲得を祝う場面も見られた。
チームオーダーから解放された勝田は、スペアタイヤを積まずにアタックを敢行。インタビュー時に息が上がるほどの渾身の走りを見せた。ただ、序盤のミスが響き、ヌービルには届かなかったが、ミケルセンより速いタイムを刻んだ。
Mスポーツのフルモーとグレゴワール・ミュンスター(フォード・プーマ・ラリー1)は、最終ステージで奮わず、ステージ下位に沈んだため、オジエとエバンスのどちらかがヌービルのタイムを上回ると、マニュファクチャラーズチャンピオンが決まる状況になった。
そして、オジエはヌービルより1.9秒を上回ってパワーステージトップとなり、エバンスもステージ3位に食い込み、トヨタはマニュファクチャラーズタイトルの4連覇を決めた。
これでラリージャパンのすべてのステージが終了。最終的にエバンスが総合優勝を飾り、オジエが総合2位とトヨタのホームレースをワン・ツーで終えた。総合3位にはフルモーが入り表彰台で今シーズンを終えた。総合4位に続いた勝田は、フルモーとの差が7.1秒と、デイ3のスピンでロスした約10秒が大きく響いた形となった。
WRC2クラスでは、『頭文字D』カラーのマシンを駆るニコライ・グリアジン(シトロエンC3ラリー2)グリアジンがこの週末を完全に支配し、クラス優勝を飾った。サミ・パヤリ(トヨタGRヤリス・ラリー2)は、SS21まで走破しクラス2位となり、WRC2チャンピオンに輝いた。新井大輝(シュコダ・ファビア・ラリー2)がクラス3位となった。