自民、公明両党の税制調査会は25日、それぞれ総会を開き、2025年度税制改正に向けた本格的な議論を始めた。所得税が課される年収の最低ラインである「年収103万円の壁」の引き上げ幅などが焦点。ガソリン税を一時的に軽減する「トリガー条項」の凍結解除への対応や、防衛費に充てるための増税の開始時期なども検討する。12月に税制改正大綱を取りまとめる。
政府が今月22日に決定した総合経済対策には、自民、公明の与党と国民民主党の合意を受け、「103万円の壁」の見直しについて、25年度税制改正の中で議論し引き上げる方針を明記。ガソリン減税は「自動車関係諸税全体の見直しに向けて検討し、結論を得る」とした。
「103万円の壁」見直しを巡り、国民民主は178万円までの引き上げを主張。衆院で過半数を持たない与党は、国民民主などの協力がなければ税制改正関連法案を成立させることができないが、国と地方で7兆〜8兆円の税収減が見込まれ、調整は難航が予想される。ガソリン減税も与党内には実施に慎重な意見があり、議論の先行きは不透明だ。
防衛増税については、23年度税制改正大綱で法人税と所得税、たばこ税を財源に「27年度に向けて複数年かけて段階的に実施することとし、27年度において、1兆円強を確保する」と明記したが、増税の開始時期決定は見送られてきた。与党は開始時期に関しても国民民主と協議する構えだ。
公明党税制調査会の総会で発言する赤羽一嘉税調会長(中央左)。同右は斉藤鉄夫代表=25日午後、国会内