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災害で住宅が全壊(損害割合が50%以上)した世帯に最大で300万円を支給することなどを定めた被災者生活再建支援法について、毎日新聞は全都道府県の知事を対象にアンケートを実施した。その結果、青森県や徳島県など26道府県の知事が300万円では「不十分」と答えた。
住宅の再建に当たり、専門家は「原則(住民による)自助」と指摘するが、能登半島地震の被災地では「もう少し支援があれば」という声もある。その中で、行政による公助を充実させた方がいいと考える知事が多く、国会での議論が期待される。
この法律の対象となる災害は、一つの市町村内で全壊が10世帯以上あった場合や、都道府県内で全壊が100世帯以上あった場合などだ。
全壊世帯のほか、大規模半壊(損害割合が40%台)の世帯に最大250万円、中規模半壊(同30%台)に最大100万円が支給される。支給額の半分は全都道府県が拠出する基金から出され、残りの半分を政府が補助する。
この法律は1998年に制定された。当初は全壊世帯に100万円だったが、国会での議論を踏まえて法改正され、2004年に300万円に引き上げられた。
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アンケートは11〜12月に実施。全壊世帯に支給される300万円について「十分」「不十分」「どちらでもない」という選択肢で質問した。その結果「十分だ」と答えたのは、岐阜県知事のみ。18県の知事が「どちらでもない」を選んだ。
東京都知事は「選択肢により単純に回答できるものではないため回答を控える」、福井県知事は「どちらかと言えば不十分だ」とした。
「不十分」を選んだ26道府県の知事に、その理由について尋ねると、多くは物価高の影響や300万円という支給額が04年から変わっていない点を挙げた。
石川県知事は「被災した世帯にとって現時点の支援額では新たな住宅を再建する際の自己負担が大きいことや、近年の物価高を踏まえて引き上げが必要と考える」、茨城県知事は「04年以来据え置かれており、当時と現在の住宅建設費用を考慮すると不十分」と答えた。
さらに、いくらに引き上げるべきか質問した。山形県や群馬県など11県の知事は「300万〜600万円」、富山県知事は「600万円」とした。
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他の知事は「全国知事会でのこれまでの議論の積み重ねや経緯などを踏まえ、検討していく必要がある」(福島県)、「(支給額が300万円に引き上げられた)04年以降の消費税率の改正や物価上昇を考慮した金額」(京都府)などと答え、具体的な金額は示さなかった。
一方、最初の質問で「どちらでもない」を選択した18県の知事に理由を聞くと「財源となる基金を拠出する自治体の財政負担の増加が懸念されるため、その財源確保と併せた検討が必要」(秋田県知事)、「地震保険・共済などの取り組みと併せて考えるべきだ」(長野県知事)などと回答した。
災害法制に詳しい山崎栄一・関西大教授は「自然災害から財産を守るための原則は自助だ」と話す。
その上で「物価高を踏まえると、支援法が創設された当時のお金の価値ではなくなっている。法の支援内容を維持しようとすると、物価高と並行して金額を引き上げることはごく自然な対応だ。国会は金額の引き上げについて議論をすべきだ」と指摘した。【洪玟香、中田敦子、面川美栄】
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