天皇、皇后両陛下が来年、戦後80年に当たり、広島、長崎、沖縄の3県を訪問されることを宮内庁が検討していることが29日、関係者への取材で分かった。戦没者慰霊のほか、記憶の継承に関わる人らとの面会も想定されているという。
両陛下が毎年出席する四つの主要地方行事のうち、国民文化祭は来秋に長崎県で行われる。関係者によると、戦後80年に当たり、長崎と同様に原爆が投下された広島県、住民を巻き込んだ地上戦が行われた沖縄県のほか、東京大空襲の犠牲者らが眠る東京都慰霊堂(東京都墨田区)への訪問が検討されている。
平成の時代、上皇ご夫妻は1995年、戦後50年に当たり、長崎、広島、沖縄、東京都慰霊堂を巡る「慰霊の旅」を行った。戦後60年の2005年には米自治領サイパン、戦後70年の15年にはパラオを訪れ、戦没者を慰霊した。
天皇陛下は今年6月、英国訪問前の記者会見で、両陛下とも「戦後生まれであり、戦争を体験していません」とした上で、「亡くなられた方々や苦しく、悲しい思いをされた方々のことを忘れずに、過去の歴史に対する理解を深め、平和を愛する心を育んでいくことが大切ではないか」と述べた。