米軍横田基地(東京都福生市など)に所在する在日米軍司令部の「統合軍司令部」への格上げ計画を巡り、日米両政府は新司令部で自衛隊との調整に当たる部門を都心に移す方向で検討に入った。防衛省の近くに配置し、共同の作戦計画策定などを円滑化する。日米関係筋が29日明らかにした。
移転先に挙がるのは東京・六本木にある米軍赤坂プレスセンター。米軍が終戦直後に接収した約2万7000平方メートルの敷地に米軍準機関紙「星条旗新聞」の拠点やヘリポート、将校宿舎が置かれている。横田基地が東京・市谷本村町の防衛省から約40キロ離れているのに対し、同センターは約3キロの距離にある。
都は返還を求めているが、都心に新たな用地の取得が難しい中、通信などの施設整備が比較的容易とみて米側が調査を進めている。作戦指揮や基地・部隊管理など大半の部門は横田基地に引き続き置く方向だ。
防衛省は2025年3月、陸海空3自衛隊の指揮を一元的に行う「統合作戦司令部」を防衛省敷地内に新設する。米側も同時期の統合軍司令部発足を目指しており、在日米軍の運用権限を米ハワイのインド太平洋軍司令部から移管する方針だ。
日米両政府は現在、両司令部間での円滑な意思疎通や相互運用性が確保されるよう作業部会で詰めの調整を進めている。日本政府関係者は米側の調整部門の都心移転を歓迎し、「対面に勝るコミュニケーションはない」と語った。
台湾海峡の情勢緊迫化など安全保障環境が厳しさを増す中、日米の共同作戦能力向上が急務となっている。日米は4月の首脳会談で自衛隊と在日米軍それぞれの指揮統制の在り方を見直し、運用面の連携強化に取り組むことで一致した。