1月23日(木)、2025年WRC世界ラリー選手権の第1戦『ラリー・モンテカルロ』のデイ1はスペシャルステージ1から3の走行が行われ、TOYOTA GAZOO Racingワールドラリーチーム(TGR-WRT)からは4台のトヨタGRヤリス・ラリー1が出走。若手育成を担うTGR-WRT2からも1台が出走し、合計5台が最高峰クラスを戦っている。
TGR-WRTからは、エルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(33号車/総合2番手)、セバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ組(17号車/総合3番手)、カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組(69号車/総合6番手)がマニュファクチャラー登録選手として出場し、勝田貴元/アーロン・ジョンストン組(18号車/総合8番手)が4台目出走。TGR-WRT2が走らせる5台目にはサミ・パヤリ/マルコ・サルミネン組(5号車/総合9番手)が乗り込んだ。
まずは22日(水)の夕方に、サービスパークが置かれるフランス南部ギャップの近郊でシェイクダウンが行われた。全長3.28kmのステージは全体的にウエットコンディションとなり、ドライバーたちはいくつかのセットアップや、今回がWRCトップカテゴリー車両へのタイヤ供給初戦となるハンコックタイヤをテスト。ラリー本番に向けてクルマの最終確認が進められた。
競技は一夜明けた23日(木)から始まり、モナコのカジノ広場で行なわれたセレモニアルスタートを経て、夕方6時からフレンチ・アルプス山中で2025年最初のステージが始まった。
暗闇のなか、ドライバーたちはギャップを目指しながら3本合計54.16kmの山岳ステージを走行。オープニングのSS1では、ラリー・モンテカルロ通算10勝目を狙うオジエがベストタイムを刻み、3.9秒差でエバンスが続く好スタートを切った。
続くSS2でもオジエはベストタイムを刻み、総合2番手に順位を上げたティエリー・ヌービル(ヒョンデi20 Nラリー1)に対し5.3秒のリードを築く。
ところが、路面のグリップが非常に不安定だったSS3のジャンクションで、オジエは路面に出ていた泥に乗ってハーフスピンを喫したことで15秒程度をロス。その結果総合3番手に後退した。それでも首位ヌービルと12.8秒差、総合2番手の僚友エバンスと10.8秒差につけている。
なお、SS3でエバンスがベストタイムを記録した結果、トヨタGRヤリス・ラリー1は初日の全ステージを制覇。エバンスは、首位ヌービルとわずか2.0秒差と、2台はまだまだ優勝を狙える位置につけている。
そして、2022年、2023年の世界王者であるロバンペラは、SS3で3番手タイムを記録し、初日を総合6番手で走破。勝田は総合8番手、今年からラリー1マシンでシーズン全戦に出場することになったパヤリは、確実性を最優先した走りで総合9番手につけて大会初日を終えた。
各クルーの走りに対してヤリ-マティ・ラトバラチーム代表は、新シーズン特有の緊張感を感じていたようで、「ラリー・モンテカルロの木曜日は、つねにエキサイティングで精神的に少し疲れを感じるシーズンのスタートになる」と語っている。
「とくに、今日最後の3本目のステージは、このようなコンディションを走る必要がなく、見ているだけで済む自分はラッキーだと思えたほどだよ」
「エルフィン(・エバンス)はそのステージで素晴らしい仕事をしてくれたし、いい位置につけている。セブ(セバスチャン・オジエの愛称)も素晴らしいスタートを切り、SS3では危ないシーンもありタイムを失ったが、モンテカルロのようなラリーで12秒の遅れはそれほど大きなものではないだろう」
「カッレ(・ロバンペラ)は最初の2本のステージでは少し苦戦していたようだが、初日の夜さえ乗り越えれば金曜日は明るいなかを走るので楽になるはずだ」
「ただ今回はハイブリッドなしのマシンで迎える初めてのラリーで、(勝田)貴元は、5速に入れると少しパワーダウンしてしまう症状に悩まされたようだ」
「でも明日はカッレも、(勝田)貴元も、サミ(・パヤリ)も、きっと問題なく走れるようになるはずだよ」
明日、フルデイ初日となる大会2日目はSS4からSS9までの全6本を予定。スペシャルステージの総走行距離は107.34km、リエゾン(公道区間)も含めた総距離は422.84kmだ。