大谷翔平の復帰時期は? 山本由伸への期待度は? 番記者が語る2025年ドジャース先発陣の行方

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2025年02月11日 07:10  webスポルティーバ

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後編:在米番記者が語るドジャース先発投手陣

『FOXスポーツ』のドジャース&ナ・リーグ西地区担当記者、ロワン・カブナー氏によるドジャース先発投手陣分析の2回目。

実績ある先発ピッチャーを多数抱えるチームが、それぞれをどのように起用していくのか、そして大谷翔平、山本由伸、佐々木朗希がどんな成績を残すか。ひと足先に占ってもらった。

*本文はカブナー記者の一人称

【故障者対策ゆえの先発陣の手厚い補強】

 今オフ、佐々木朗希、ブレイク・スネルを加えたドジャースは多くの先発投手を擁することになった。タイラー・グラスノー、山本由伸、スネル、佐々木に加え、大谷翔平もマウンドに復帰する。ほかにもトニー・ゴンソリン、ダスティン・メイ、ランドン・ナック、エメット・シーハンが先発入り候補であり、今はまだFAのクレイトン・カーショウとの再契約も有力視されている。

 もしも全員が健康であれば、6人ローテーションを敷いたとしても頭数が多すぎるという状況だが、昨季に起こったことを思い返し、チーム側はそのほうがいいと考えているはずだ。

 ご存知のとおり、2024年のドジャースは投手陣からケガ人が続出した。開幕時の先発ローテーションに入っていた投手で、ポストシーズンでも先発できたのは山本だけだった。その山本にしても、ケガで長期間、戦線を離脱していたし、プレーオフで大きな貢献を果たしたウォーカー・ビューラー(今オフ、ボストン・レッドソックスに移籍)も1年を通じて働いたわけではなく、シーズン中に獲得されたジャック・フラーティ(今オフ、デトロイト・タイガースに移籍)がいなかったら厳しい状態になっていたはずだ。

 今季の先発候補に名前を連ねているすべての投手に故障歴があり、1年を通じて健康を保つ可能性は低いと見る。先発投手が余る時期があれば、メイ、ゴンソリンらのブルペン行きが考慮されるのだろうが、そういった状況にそれほど頻繁になるとは思えない。8月ごろ、「先発投手が多すぎる」といった話をすることになっていたとすれば、私は驚くだろう。

 チームがこれほど先発陣を手厚くした要因として、それぞれの投手たちを慎重に起用したいという思惑があるはずだ。そのなかにはもちろん大谷、山本、佐々木も含まれる。日本人投手たちをNPBと同様に週1度の登板といった頻度で起用したところで故障が避けられる保証はなく、登板間隔については臨機応変に判断されていくに違いない。

【日本人3投手それぞれの2025年は?】

 最後に3人の日本人投手たちの今季を予想しておきたい。まず大谷は5月に投手として復帰し、10月のポストシーズンの時期にベストの状態に持っていけるように照準を定めて起用されていくのではないか。おそらくシーズンを通じて15〜16度の先発機会になると見ている。

 右肘に2度目の手術を受けて、どれだけ支配力を保てるかを想定するのは難しい。ただ、大谷は本当に規格外だ。去年の開幕前、「故障明けだから35本塁打くらい打てば御の字だろう」なんて話をしていたら、50-50というとてつもない記録を残してしまった。大谷はほとんど生身の人間とは思えないほどで、もう何をやっても驚くべきではない。

 昨季の山本はアップ&ダウンがあり、右肩の故障で約3カ月の戦線離脱を余儀なくされた。それでもシーズン終盤とポストシーズンの投球は上質だったし、最終的に成功と言える1年目を過ごした。今季も右肩の状態が問題ないのであれば、大きな規制は設けられず、25試合くらい先発できればチームにとっては大きい。

 佐々木に関しては、正直わからない。健康ならば15〜20回くらいは先発するのかもしれないが、才能は誰もが認めるものがあっても、適応期間は必要だろう。いきなりスターレベルの投球をすると想定すべきではない。今季に関しては課題を克服しながら進んでいくことになると思う。速球、スプリッターの威力はすでにメジャー最高級と喧伝されているが、第3の球種であるスライダーは改善が必要だ。あとはたとえばカッター、スイーパーをレパートリーに加えるとか、いろいろと試しながらやっていくのではないか。

「メジャー最高の投手になること」「サイ・ヤング賞を獲ること」が佐々木の目標だと聞いているが、すでに述べた通り、本人、チームともにそれを1年目に成し遂げたいと考えているわけではないはずだ。今季中にも支配的な実力の一端は見せてくれるだろうが、丁寧にプロセスをたどっていくと考える。好投をしていても毎回5イニング程度で交代のはずで、シーズン通算で110~130イニングくらい、勝ち星はそれほど多くはないと予想する。

 最近の米球界では、勝ち星は以前ほど重視されていない。ドジャースに限らず、5イニングで交代する投手が増えている。6、7イニングを投げることは稀だから、先発ピッチャーでも勝利数は増えない傾向にある。私は過去にサイ・ヤング賞の投票権を持っていたが、勝ち星は貢献度が同等だった場合のタイブレイカー程度の扱いで、それほど重要視しなかった。

 大谷、山本、佐々木に関しても、強いチームに所属し、能力もあるわけだから、彼らが登板した試合でドジャースは多くの勝利を挙げるだろう。本人たちの勝ち星が増えるとは限らないが、それは大きな問題ではない。さまざまなアジャストメント(調整)を施しつつ、3人が揃ってポストシーズンの時期にピークにいられるようにていねいに起用され続けるはずだ。

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