米兵を過失運転致死容疑で書類送検 22歳息子失った両親の無念

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2025年02月13日 10:12  毎日新聞

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死亡した長男翼さんへの思いをつづった父親=横須賀市で2024年12月19日午後3時37分、福沢光一撮影

 右折禁止の交差点を乗用車で右折してオートバイの男性を死亡させたとして、神奈川県警横須賀署は12日、乗用車を運転していた米海軍横須賀基地所属の米兵の男性(22)=同市稲岡町=を自動車運転処罰法違反(過失運転致死)の疑いで横浜地検横須賀支部に書類送検した。米兵は容疑を認め「(右折禁止の)標識に気づかなかった」と話しているという。


 書類送検容疑は2024年9月18日午後6時40分ごろ、同市小川町7で右折禁止の国道交差点を右折して直進してきた伊藤翼さん(22)運転のバイクと衝突し、伊藤さんを死亡させたとしている。


 車には米兵を含む男女4人が乗っていた。米兵は「大変申し訳なく思っています」と話しているという。【柿崎誠】


誠意感じられず、両親無念


 「家族思いのいい子でした」。伊藤さんの両親が2024年12月、毎日新聞などの取材に応じ、現実を受け入れられない心境を語った。


 事故の一報は、当日の午後9時半ごろ、横須賀署からの電話だった。死亡事故があって翼さんの免許証があるという。慌てて署に駆け付けて安置所で本人と確認した。


 翼さんは約1年前から市内のファミリーレストランで働いていた。当日は普段とは違う遅番で、午後6時過ぎにオートバイで出かけた。父親は「息子は急いでいたわけでもなかったが、出て行ってしまった。いつもは『気を付けて行け』と声をかけていたが、その日は会話をしなかった」と悔やむ。


 米兵は上司と共に通夜と告別式に出席した。父親は嫌だったが、母親が「謝らせたいから」と認めた。ただ、「米兵は普通に頭を下げるだけ」で誠意が感じられなかったという。父親は「反省していないと思った。ただ上司に言われて謝りに来ただけでないのか」と怒りをにじませる。


 両親は米海軍横須賀基地に対し、事故の状況の説明を弁護士を通じて申し入れている。


 父親は「この先の長い人生で、結婚して幸せな家族を作ってほしかった。孫にも会ってみたかった。今も会いたくて会いたくてしょうがない」と涙を流した。


 母親も「悲しみ、悔しさが混ざり合って、よく分からない状態だ。何をしても楽しくない。大切な家族を突然失うのは言葉では表現できない、胸をえぐられるような苦しい気持ちだ。涙が出ない日はない」と話した。【福沢光一】



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  • ひとのいのちに在日米軍も地位協定も関係ありません。犠牲になった被害者と親御さんにはお悔やみ申し上げます。
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