食料品の消費税ゼロパーセント実現に向けた勉強会であいさつする立憲民主党の江田憲司元代表代行(奥中央)=13日、国会内 立憲民主党内で、野田佳彦代表が重視する「財政規律」路線への不満がくすぶっている。昨年末には有志議員が食料品にかかる消費税率の「当面ゼロ」実現に向けた勉強会を立ち上げた。野田氏は消費税減税には慎重で、参院選を控えて党内対立の火種になりかねず、対応に苦慮しそうだ。
「政権を取りにいこうと本気で思っている。政策を実現するとき、財源をしっかり考える」。野田氏は14日の記者会見で、2025年度予算案の修正案を示した上で、こう強調した。
ただ、党内には批判の声もある。ある中堅は「政権交代を訴えているのに、与党と同じレールに乗って議論しても仕方ない」と反発。ベテランは「選挙で訴える目玉政策がない。立民は『増税政党だ』とレッテルを貼られている」と嘆く。
13日には、食料品を対象に消費税率当面ゼロの実現を目指す勉強会が開かれ、代理を含めて党所属国会議員の3割を超える63人が出席。会長を務める江田憲司元代表代行は「国民の胸に響く効果的な物価対策を打ち出さなければ、(参院選は)大変厳しい選挙になり、政権交代なんて夢のまた夢となりかねない」と訴えた。
こうした危機感の背景には、国民民主党の存在がある。同党は「手取り増」など国民に伝わりやすい政策を掲げ、支持を広げている。日本維新の会も看板政策として高校授業料無償化をアピールしており、立民内からは「埋没している」(関係者)と焦りの声が漏れる。
野田氏は旧民主党政権で首相を務めた際、消費税増税を進めて党が分裂。旧民主を源流とする立民内には「トラウマ」となっている。江田氏の勉強会は5月の大型連休前後に提言をまとめ、党執行部に提出する方針。ある閣僚経験者は「ポピュリズムだ。党を割るつもりか」と非難する。
野田氏はかねて「減税は受けがいいが、財政に責任を持つのが政権交代を主張する立場として責任ある態度だ」と発言していた。13日、記者団から勉強会について問われ、「党内でいろんな勉強会をやることはいいことではないか」と語ったが、今後難しいかじ取りを迫られそうだ。

2025年度予算案に対する修正案を公表し、記者会見する立憲民主党の野田佳彦代表=14日午前、国会内

記者会見する立憲民主党の野田佳彦代表=14日午前、国会内