高額療養費上げ、再検討＝２６年以降は今秋判断―石破首相

　石破茂首相は２８日の衆院予算委員会で、医療費が高額になった場合の患者負担上限額を抑える「高額療養費制度」について、負担上限額の引き上げを再検討する考えを示した。今年８月の引き上げは予定通り実施した上で、２０２６年８月以降の在り方を今秋までに判断する。立憲民主党の野田佳彦代表への答弁。

　上限額は２５年から２７年にかけて３段階で引き上げる方針で、首相は「見直し自体は（凍結せず）実施したい」と強調。「患者団体などの意見を十分承り、増大する高額療養費を能力に応じてどう分かち合うかという観点から決定する」と述べ、２６年以降の引き上げ幅を緩和する方針を明らかにした。

　直近１２カ月以内に３回利用すると４回目から負担額を軽減する「多数回該当」について、首相は「新たに病気になる方も『多数回該当』から外れないようにしたい」とし、配慮措置を講じる考えを強調した。

　高齢化や薬剤費の高額化で医療費は増加しており、政府は患者負担の引き上げで、現役世代を中心に伸び続ける保険料負担の軽減を図る方針。８月からの引き上げで、年収７００万円の人が３回目まで利用するケースの上限額は約８０００円増の月約８万８０００円となる。

　ただ、患者団体から批判が相次ぎ、立民も引き上げの凍結を主張。野田氏は予算委で「８月から引き上げを強引に進めることは強い違和感がある」と改めて政府の対応を批判した。