中高年世代、ＢＭＩが増加傾向＝１５〜２０年度の健診分析―慶大など

　健康診断を受診した中高年世代の２０１５〜２０年度のデータを解析したところ、肥満度を示す体格指数（ＢＭＩ）が増加傾向にあることが２８日までに、慶応大などの研究グループの調査で分かった。対象とした全ての年齢層で増加していた。同じ年齢カテゴリーでは、後に生まれた世代の方が体重が重かった。

　勝川史憲・慶大名誉教授らの研究グループは、主に中小企業の従業員らが対象の全国健康保険協会（協会けんぽ）に加入する３５〜６９歳の男女約８１５万人分の健診データを分析。性別と、５歳ごとの年齢区分に基づいて分類し、身長や体重、ＢＭＩの推移を調べた。

　その結果、ＢＭＩは男女いずれも全ての年齢層で加齢とともに増加。同じ年齢区分では、２０年度の方が１５年度より体重が重かった。

　６５歳以上の男性の体重は減少傾向だったが、加齢に伴う骨密度の低下などで高齢者の身長は縮む傾向があるため、ＢＭＩでは増加していた。

　肥満は、脳卒中や心筋梗塞などの心血管疾患を起こしやすくする要因で、死亡リスクを上昇させるとの研究報告もある。欧米人と比べて日本人はインスリンを分泌する能力が低く、比較的低い肥満度でも糖尿病を発症するとされる。

　厚生労働省が公表した２２年の国民健康・栄養調査によると、１日の野菜摂取量や歩数は男女いずれも１０年間で減少傾向にある。勝川名誉教授は「今回の調査は、食生活が西洋化した後に生まれた世代が中心で、対象人数も先行研究より格段に多い。今後も肥満者の割合は増加していくと推測される」としている。